1) 重水と其蒸気との間の重水素交換平衡(H
2O
liq+HDO
gas〓H
2O
gas+HDO
liq)の平衡恒數
K(=[H
2O]
gas[HDO]
liq/[H
2O]
liq[HDO]
gas)に關する堀内,岡本及びUrey, Urey, Wahlの定測結果は一致しない.兩者の方法の缺點と思はれるものを除去し,測定範圍を0°C~160°Cに擴張して測定を行ひ最後的の結果を得んとするのが本研究の目的である.
2) 蒸氣の一部を取り出す際,液と蒸氣との平衡を亂さず,而も不可逆的に之を凝結せしむる爲, 0°C~18°C, 50°C, 100°C, 160°Cの各實驗温度に夫々特殊な装置を考案した.
3) 其の結果著者等の測定値
Kは前二者の測定値の中間に位し,而も温度係數は夫々の温度域に於いて略前二者のものと一致してゐる.
4) 若干の妥當なる假定に依り,
K2=
pH2Oo/
pD2Ooなる關係を導いた.軽重水の蒸氣壓の比
pH2Oo/
pD2OoをMenzies及びMilesの實測より算出して,
K2と比較せるに,全測定域0°C~160°Cに於いて滿足すべき一致を見た.
5) log
K~1/
T曲線及び(log
pH2Oo/
pD2Oo)~1/
T曲線の經過より液態水の構造に付いて考察した.
終りに御懇篤なる御指導を賜つた堀内教授並びに岡本助教授に深謝の意を表します.尚研究費の一部を補助せられたる學術振興會に對し謝意を表します.
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