日本化學會誌
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分析化學に於ける基礎反應の研究(第三報)
金屬根と燐酸ソーダの反應
岡 好良
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1939 年 60 巻 1 号 p. 29-38

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抄録

(1) 金屬鹽溶液に燐酸ソーダを加へるときに生ずる沈澱の組成を知る目的を以て硝子電極を使用して滴定した.
(2) 硝酸カルシウム,硝酸クロム,硝酸ウラニル以外に於ては滴定の進行に伴ひpHが一時下る.
(3) 硝酸ランタン,硝酸第一セリウムを滴定した場合には正燐酸鹽に近い物を得る.燐酸銀は燐酸ソーダを吸着する.
(4) 硝酸鉛,硝酸トリウムに於ては第一階段に於て正燐酸鹽に近いものが得られ,第二階段に於て燐酸鹽の分解が行はれる.
(5) 硝酸銅,硝酸ベリリウム,硝酸アルミニウム,硝酸第二鐵を滴定した場合には第一階段に於て燐酸鹽と水酸化物の混合物を生じ,第二階段に於ては燐酸鹽の分解が行はれる.
(6) 硝酸亞鉛,硝酸カドミウム,硝酸コバルト,硝酸ニツケルに於ては第一階段に於ける反應と第二階段に於ける反應が重なり曲線上兩者を區別することが出來ない.
(7) 硝酸クロムに於ては三段に反應し,第一階段に於ては少量の燐酸クロムを生ずるに過ぎず他はCr(OH)¨として存在する.
(8) 硝酸ウラニールを滴定した際得られた沈澱の組成は下明である.沈澱の分析に待つべきと考へる.

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