日本化學會誌
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60 巻, 1 号
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  • 陸産マンガン鑛のラヂウム含量及び深海底土のラヂウム含量との比較
    濱口 博
    1939 年 60 巻 1 号 p. 1-4
    発行日: 1939年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    北海道メツプ鑛山産沈澱性マンガン鑛二種,北海道奥尻島産マンガン鑛,北海道湯の澤鑛山産マンガン鑛,石川懸瀬嵐鍍山産マンガン鑛,及び青森縣大鰐鑛山産マンガン鑛の6個の酸化マンガン鑛のラヂウム含量を測定した結果夫々7.45, 5.73, 2.25, 1.81, 1.10, 0.55×10-12gRa/gなる値を有しメツプ鑛山の試料が他の鑛山の試料に比して大なるラヂウム含量を示した.このメツプ鑛山のマンガン鑛は海底沈澱にかかる初成的酸化マンガン鑛が海底に於ける一種の露天化作用を受けて生じたものであることに關聯しこの試料がラヂウム含量に富むことは興昧ある事實である.
  • 深海底土のラヂウム含量(第二報)
    濱口 博
    1939 年 60 巻 1 号 p. 5-6
    発行日: 1939年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    極めて陸地に接近せる淺海底土より遠洋深海底土に亘る14個の試料のラヂウム含量を測定した結果,淺海底土より次第に深度を増大しTerrigenous Sedimentの混入が減少し,つひに完全なるRed Clayに推移するに從つて漸次ラヂウム含量増大することを認めた.
  • 淺間火山附近湧出水のラドン含量測定(第一報)
    野口 喜三雄
    1939 年 60 巻 1 号 p. 7-17
    発行日: 1939年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    (1) 淺間火山附近諸種湧水,井戸水,河水等33種のラドン含有量を測定したるに河水は此測定法の精度に於ては零であつた.湧水,井戸水等に於ては測定値の最大は小瀬温泉1.25マツヘ,最小は片山要藏氏井戸水,つるや旅館井戸水等の0.05マツヘである.著者は之等33種の測定結果よりラドン分布を圖示し,且ラドン含有量と水温, pH,溶在瓦斯量・重水濃度,蒸發殘滓, Fe, Ca, Cl, SiO3等との間の關係の有無を檢討し,其結果よリラドンの根源に就て論述した.
    (2) 著者は地獄谷噴氣孔溜水及び地獄谷湧水に就て稍長期のラドン含量連續測定を行つた結果,地獄谷噴氣孔溜水に就てはラドン含有量は淺間火山の活動の旺盛である時は著しく増減する.ラドン含有量と水温との間には統計的に觀察する時は一つの曲線關係が成立し,水温が低下するほどラドン含有量は増加する傾向を示した.又ラドン含有量と湧水量との間には統計的に觀察する時は直線關係がほぼ成立し,湧水量増加するほどラドン含有量増大する傾向を示した.尚測定値の最大は0.31マツへ,最小は0.07マツへである.次に地獄谷湧水に就てはラドン含有量と淺間火山の活動との間には關係なく,又ラドン含有量と水温,湧水量等との間にも關係は見出せない.此湧水のラドン測定値の最大は0.23マツへ,最小は0.05マツへである.
    (3) 菱野鑛泉(花崗宇三郎),地獄谷蛇堀川源水,蛇堀川端湧出水(橋の測I)等に就ては其ラドン含有量を昭和11年及び昭和12年の二囘測定したが大なる變化を示さない.
  • (ヘキサヒドロ-フルオレン誘導體の合成第二報)
    藤瀬 新一郎, 奥寺 正, 笹川 文之
    1939 年 60 巻 1 号 p. 18-20
    発行日: 1939年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    2, 3-ヂメチルーブタヂエンと桂皮酸を縮合し2-ワェニル-4, 5-ヂメチル-Δ4-テトラヒドロ安息香酸とし,更に還元,閉環反應を行ひヂメチルーヘキサヒドローフルオレノン(I) (融點67~68°)を得.之のオキシム(IV融鮎159~160°)を接觸遠元しヂメチル-ヘキサヒドローフルオレニルアミン(V.醋酸鹽融鮎172~173°)を得た. I, IV, Vは立體異性體が多く存在すると豫想せらるるが,著者等の得たものは何れも純粹な化合物で且收量の點からIV. Vの生成に際しては立體異性體の混合物を生じたとは推定せられぬ.ヂメチルーヘキサーヒドローフルオレノンのセレン脱水素に際し著者等の用ひた反應温度及時間ではヂメチルーフルオレン(融點125°)と他にカルボニル基を保有せるヂメチルーフルオレノンをも得た.
  • ヘキサヒドロフルオレン誘導體の合成第三報
    村井 淳吉, 藤瀬 新一郎, 奥寺 正
    1939 年 60 巻 1 号 p. 21-24
    発行日: 1939年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    o-フエニルーヘキササヒドロ安息香酸を製し,次でその酸鹽化物を閉環しヘキサヒドロ-フルオレノン(IV融點43.5~44°)とする.この結晶は無色であることを認め從來微黄色と記したのは誤りとした. (IV)のオキシム(V融點10〓~116°)は融點が甚だ不鋭敏であるがC13H15の組成と同一の元素分析結果を得たので,オキシム(V)は立體異性體の混合物と推定した. (V)の還元によりヘキサヒドロ-フルオレニルアミン(VI)を製するときオキシム(V)の酒精-醋酸溶液をナトリウムーアマルガムで還元しアミン醋酸鹽は2種類生成する. (α:醋酸鹽融點141~142°; β-醋酸鹽融點172~174°)氷醋溶液を接觸還元すれば定量的にβ-鹽基を得.又酒精溶液をナトリウムで還元しβ-鹽基を純粹に得たが接觸還元に比し收量著しく不良であつた.
  • ヘキサヒドロ-フルオレン誘導體の合成第四報
    藤瀬 新一郎, 堀 一男, 松澤 甚壽
    1939 年 60 巻 1 号 p. 25-28
    発行日: 1939年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    フルオレノン-オキシム(II)の接觸還元にとよりヘキサヒドロ-フルオレニルアミンとなる.醋酸鹽又は安息香醋鹽の分別再結晶により融點を異にする結晶となる.之をα, βと命名した.醋酸鹽の融點はα化合物142~143°, β化合物173~174°.安息酸鹽の融點は.α-化合物146~147°, β-化合物183°. (1)のα-アセチルー又はベンゾイル-化合物は各2種の結晶を得その内1種はβ-のアセチル又はベンゾイル化合物と同一物である.是等の事實及び第3報の結果より若しαが非常に分離し難き異性體混合物に非ずして純粹なものであれば, αとβはヘキサヒドロフルオレンの炭素9に結合したアミド基と水素とのシス,トランス異性體である.フルオレノンを還元してドデカヒドロ-フルオレン(C13H22)を得,對應するアルコホルは得られなかつた.
  • 金屬根と燐酸ソーダの反應
    岡 好良
    1939 年 60 巻 1 号 p. 29-38
    発行日: 1939年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    (1) 金屬鹽溶液に燐酸ソーダを加へるときに生ずる沈澱の組成を知る目的を以て硝子電極を使用して滴定した.
    (2) 硝酸カルシウム,硝酸クロム,硝酸ウラニル以外に於ては滴定の進行に伴ひpHが一時下る.
    (3) 硝酸ランタン,硝酸第一セリウムを滴定した場合には正燐酸鹽に近い物を得る.燐酸銀は燐酸ソーダを吸着する.
    (4) 硝酸鉛,硝酸トリウムに於ては第一階段に於て正燐酸鹽に近いものが得られ,第二階段に於て燐酸鹽の分解が行はれる.
    (5) 硝酸銅,硝酸ベリリウム,硝酸アルミニウム,硝酸第二鐵を滴定した場合には第一階段に於て燐酸鹽と水酸化物の混合物を生じ,第二階段に於ては燐酸鹽の分解が行はれる.
    (6) 硝酸亞鉛,硝酸カドミウム,硝酸コバルト,硝酸ニツケルに於ては第一階段に於ける反應と第二階段に於ける反應が重なり曲線上兩者を區別することが出來ない.
    (7) 硝酸クロムに於ては三段に反應し,第一階段に於ては少量の燐酸クロムを生ずるに過ぎず他はCr(OH)¨として存在する.
    (8) 硝酸ウラニールを滴定した際得られた沈澱の組成は下明である.沈澱の分析に待つべきと考へる.
  • 金屬根と砒酸ソーダの反應
    岡 好良
    1939 年 60 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 1939年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    (1) 金屬鹽溶液に砒酸ソーダを加へるときに生ずる沈澱の組成を知る目的を持つて硝子電極を使用して滴定を行つた.
    (2) 硝酸ベリリウム,硝酸クロム,硝酸ウラニル以外の金屬鹽を滴定した場合には滴定の進行に伴ひ一時pHが下降した.
    (3) 硝酸銀,硝酸ランタン,硝酸第一セリウムを滴定した場合には正砒酸鹽に近いものを得た.硝酸鉛,硝酸トリウムに於ては第一階段に於て消費される砒酸ソーダの量が計算量より僅に少く,第二階段に於ては後者に於ては砒酸鹽の分解が行はれる.
    (4) 硝酸銅,硝酸ベリウム,硝酸アルミニウム,硝酸クロム,硝酸第二鐵に於ては第一階段に於て砒酸鹽と水酸化物の混合物を生じ,第二階段に於ては生じた砒酸鹽の分解が行はれる.
    (5) 硝酸亞鉛,硝酸カドミウム,硝酸コバルト,硝酸ニツケルに於ては第一階段に於ける反應と第二階段に於ける反應が重なり,曲線上兩者を區別することは困難である.
    (6) 硝酸ウラニルを滴定した際得られる沈澱の組成は沈澱の分析に待つべきと考へる.
  • Cinobufaginの化學構造式の研究
    桑田 敬一
    1939 年 60 巻 1 号 p. 45-48
    発行日: 1939年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
  • 液體酸に就て(其二)
    松田 住雄, 上野 誠一
    1939 年 60 巻 1 号 p. 49-55
    発行日: 1939年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    今囘の實驗に依りて鰹油液體酸の内 C20, C22, C24酸に就きて其の成分を明かにする得たり.即ち
    (1) C20酸に於てはC20H38O2 (F1)酸を單離せるもこのものがガドレイン酸よりなるものか否かは決定せざりき.又C20H32O2 (F4)酸,及びC20H30O2 (F5)酸の存在は單離確認せり.
    (2) C22酸に於ては鯨油酸C22H42O2 (F1)酸は之を單離し且つC22H34O2 (F5)酸,及びC22H32O2 (F6)酸の存在を明かにするを得たるのみならず更に不飽和度高きC22H30O2) (_??_7)酸の存在を推定せり.
    (3) C24酸に關してはC24H38O2 (F5)酸及びC24H36O2 (F6)酸の存在を認め更に不飽和高き新化合物C24H34O2 (F7)酸を發見して鰹酸(Bonitonic Acid)なる名稱を與へたり.
  • チガイソ(Alaria crassifolia Kjellm)の不揮發性脂肪酸に就て
    高橋 榮治, 白濱 潔, 斗ケ澤 宜久
    1939 年 60 巻 1 号 p. 56-60
    発行日: 1939年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    チガイソ(Alaria crassifolia Kjellm)の長葉部及び成實葉部の脂肪に就き不揮發性脂肪酸の成分及び其の分布割合を試驗す.
  • 田所 哲太郎, 高杉 直幹
    1939 年 60 巻 1 号 p. 61-63
    発行日: 1939年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    (1) 胡瓜汁液中のAscorbin酸オキシダーゼの酵素力はpH7.8に於けるPancreatin處理により損失するを認む.
    (2) 南瓜汁液中のAscorbin酸オキシダーゼはアセトン沈澱物中の水溶性蛋白質中に移行すること多く,該汁液中にはAscorbin酸と共に凝固若くは吸着せらるる多量の蛋白質を含有することを認めたり.
    (3) Ascorbin酸オキシダーゼ酵素力を包藏すると見做さるる胡瓜Albuminは動植物Albumin中にありて炭素含量低く窒素及び燐含量に富むを特色とするものなり.
  • (I)環式アミン類の分子内轉位
    加藤 セチ, 染野 藤子
    1939 年 60 巻 1 号 p. 64-75
    発行日: 1939年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
  • 蒟蒻マンナンに對する熱の影響と製法とに就て
    大槻 虎男
    1939 年 60 巻 1 号 p. 76-87
    発行日: 1939年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    1. 蒟蒻マンナンを加熱するときは不溶解となると云ふ報告あり.筆者は之を追試し,該事實を認めず.此結果は粗蒟蒻粉を加熱する時最も明なり.加熱温度は120°, 200°,加熱時間は1-50時間,試料は蒟蒻マンナン(粗標品及び精製標品),蒟蒻マンニンA,蒟蒻マンニンBの夫々の粉末及び乾燥の状態.
    2. 蒟蒻マンナン精製には筆者の採れるもの(I)の外兩個の方法あり. Pankreatinを粗蒟蒻水膠液に加へ,濾液よりマンナンを沈澱せしむる方法(II,後藤)とFehling液を加へマンナン銅化合物として分ち鹽酸にてマンナンを再生する方法(III,西田,羽島)とあり.之を追試し三法の利害得失を比較せり. IIにては蒟蒻マンニンAなる低粘度の物質を得. IIIにては水に對する溶解性を失へる物質を得.即ちII, IIIの方法にては操作中變質を來す.アセチル置換體を造り差異を檢せり.一般的製法としてはIがよく,若し澱粉混在の懼あらばIIを薦む. IIIは特殊目的に應ずべし.
  • 川村 直道
    1939 年 60 巻 1 号 p. 88-96
    発行日: 1939年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    1)恒速度捲上器を作り液體に浸した硝子棒を種々なる速度で引上げて,其の時生ずる絲の長さを測定した.
    2)グリセリン等の液體に就て表面張力,密度,粘度,構造粘度との關係を研究し,曳糸性は構造粘度と密接なる關係ある事を認めた.
    3)94%のグリセリン,即ちグリセリン3分子水1分子の割合の時構造粘度最大となる.
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