日本化學會誌
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石炭水分の研究
兒玉 八郎
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1939 年 60 巻 10 号 p. 861-874

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抄録

現行工業分析法に於ける石炭の水分定量法は單に温度のみを定めて表面水分(氣乾水分或は濕分)と固有水分(或は單に水分)を定義せるため分析結果の一致は到底望み難くこれに基因する石炭取引上の不便は多言を要しないのみならず石炭の凍結問題,空氣選炭の適正問題等にも何等の解決基礎を與へない.
よつて著者は石炭の水分の本質について研究しその變化より歸納して水は石炭中に溶解せるものと斷定しこの量Dは次式によつて表はさるることを誘導した.
D=Mu
ここにu′は外氣の濕度にしてMは石炭の飽和水分にして恒數なり.
Mの値は石炭の種類及び温度によつて變化するものにして著者は滿洲炭についてこの値を測定せり.
又著者は石炭工業分析をなす際の重要問題たる石炭の反應について研究をなし,石炭は空中に於いて50°C附近より化學變化を起すことを發見し普通分析の際に試料を105~110°に於いて乾燥することの不合理を述べその對策に就いて記述せり.

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