1939 年 60 巻 10 号 p. 985-994
(1) 第一報1)に用ひた装置に少量の重水溶液を精確に造り得るやう改良し,第一報と同様の精密示差壓力計を用ひて1°~3°C間の重氷の蒸氣壓, 4°~13°C間の純重水の蒸氣壓並びに濃度範圍0.1732molより飽和迄の各濃度の鹽化加里重水溶液につき温度範圍4°Cより13°C迄に於ける蒸氣壓降下を測定した.
(2) 該測定値を用ひ次の如き熱力學的數値を算出した.
(i) 測定温度範圍に於ける重氷及び重水の蒸氣壓の温度に對する實驗式並びに各濃度溶液中重水の活度と温度との關係を表はす實驗式.
(ii) (i)の1實驗式より先づ重水の蒸登熱,重氷の昇華熱及び融解熱を算出し,熱量計による實測値と完全なる一致を見出勢した.
(iii) 飽和溶液に對する實驗式より全溶解熱Lsを算出し濃度m molと全溶解熱との間に次の關係を見出した.
mLs=-15083cal
(iv) 不飽和溶液に對する實驗式より,各濃度の重水溶液につき,其の測定の平均温度に於ける微分稀釋熱φc(=-〓1)を計算し輕水の場合と比較した.
(v) 7°C附近にて飽和する重水溶液の理論溶解熱〓sを計算した.
(vi) 各濃度重水溶液中の10°Cに於ける鹽化加里の活度係數を算出し輕水の場合と比較した.
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