日本化學會誌
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酸化マグネシウムと酸化チタンとの固體反應(第二報)
反應の經過
田中 泰夫
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1939 年 60 巻 3 号 p. 314-320

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抄録

1) 第一報1)に述べたと同様の實驗方法に依て酸化マグシウムと酸化チタンとの混合比の1:2, 1:1, 2:1及び6:1なる加壓成型試料を1000°C及び1200°Cに於て反應せしめ,燒成物の組成を分析的に求むる事に依て反應時間を種々に變じた場合の3種のチタン酸鹽生成の經過を明にし,且つこの結果をX線的に確かめた.又比較の爲粉末試料に就ても實驗した.
2) その結果この反應に於ては混合比の如何にかかはらず常に先づMgO・2TiO2を生じ,次で過剩のMgOの存在する場合は反應に依て生じたMgO・2TiO2が更にこのMgOと作用してMgO・TiO2となる事を明にした.兩者の生成反應はこの實験温度にては相當の速さを以て進行する.
3) 同様にして更に2MgO・TiO2を生ずるに至るが, 2MgO・TiO2の生成は比較的困難にして1000°Cに於ては6時間後に漸くその少量を生じ, 1200°Cに於ても當量の混合物よりは12時間の加熱に依て約50%の2MgO・TiO2を生ずるに止る.然しMgO:TiO2=6:1の場合は反應は1200°Cに於ては既に容易に完了するに至る.
4) 然してこの反應の經過は加壓試料の場合も粉末試料の場合も同一にして,ただ後の場合はその反應の速度が小である.
5) この反應に就て最近發表されたJander, Bunde2)の實驗結果は著者の茲に得た所と異りて,この反應に於ては先づMgO・TiO2が最初に生成されると云ふ.この結果の異る原因は何等かの實驗條件の相違に依るものと考へられるが,之に就て二,三の考察を行つた.尚ほ之等の點に關しては目下更に實驗中である.

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