日本化學會誌
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分析化學に於ける基礎反應の研究(第六報)
金屬根とセレン酸ソーダ並びにテルル酸加里の反應
岡 好良
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1940 年 61 巻 1 号 p. 50-60

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抄録

1) 銅,銀,ベリリウム,カルシウム,ストロンチウム,バリウム,亞鉛,カドミウム,アルミニウム,ランタン,セリウム,鉛,トリウム,クロム,ウラニル,鐵,コバルト,ニツケルの硝酸鹽をセレン酸ソーダ並びにテルル酸加里を以つて滴定した.
2) セレン酸は強い酸で其の第一,第二の解離恒數は略等しい.テルル酸は非常に弱い酸で,炭酸よりも弱く,其の第一の解離恒數は硫化水素の第一の解離恒數に匹敵する.
3) 一般にセレン酸鹽は溶解度大きく,其の中最も溶け難いものはセレン酸鉛であるが,セレン酸鉛に於いても尚完全には沈澱しない.
4) テルル酸加里を以つて滴定した場合には,アルカリ土類金屬及びベリリウム,クロム鹽を滴定した場合を除き,反應は二段に進行した.
第一階段に於いては滴定に伴ひpHが減少し,第一折點に於いて濾液に多量のテルルを檢出した.第二階段に於いてはテルル酸の中和が行はれる.
硝酸ベリリウム,硝酸クロムに於いては三段に反應し,第一階段に於いては夫々Be(OH)+[又はBe2(OH)2++]及びCr(OH)++とテルル酸を生じた.
カルシウム,ストロンチウム,バリウムのテルル酸鹽は過飽和状態を過ぎ沈澱する.
生ずる沈澱は一定の組成を有する鹽基性鹽とは考へられない.水酸化物との混合物である.

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