日本化學會誌
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コンドロイチン硫酸に關する研究(第一報)
トリパフラビン使用によるコンドロイチン硫酸の精製法に就て
左右田 徳郎江上 不二夫堀米 悌二
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1940 年 61 巻 1 号 p. 43-49

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抄録

硫酸エステルの沈澱劑としてトリパフラビンの發見は,此の方面の研究に大きな便宜を與へるものであるが,今囘は其の應用の一例としてコンドロチン硫酸の精製を行つて見た.粗製のコンドロイチン硫酸を水溶液となしトリパフラビンを加へると,兩者の結合沈澱物を生ずる.此の沈澱を濃厚な鹽化カルシウム溶液で處理すると,大部分は溶解し,極くわづかな部分は沈澱のままで殘る.此の溶液の方から得られる硫酸エステルは其の分析値から見てコンドロイチン硫酸に一致するが, S/Nの原子比を計算すると1.2以上となり,窒素を含有しない硫酸エステルの混在する事を推定し得る.
一方沈澱のままで殘る部分からは鹽酸による抽出で硫酸含量の高い物質を得た,恐らくはコンドロイチンポリ硫酸エステルであらう.
此等の結果から見て從來のコンドロイチン硫酸はLeveneの式で示さるるやうな單一な物質では無く,類似硫酸エステルの混合物なる事を知り得た.

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