日本化學會誌
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Ascorbin酸オキシダーゼの化學的性質(第十一報)
田所 哲太郎齊藤 恒行高杉 直幹
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1940 年 61 巻 3 号 p. 234-236

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抄録

著者等1)は各種植物のAscorbin酸オキシダーゼ作用を有する蛋白質は共通的に燐含量に富み,之に伴うて常にGlukosamin基を含有するが故にNucleotide型を推定し,他のNucleotide類にも亦共通的に該酵素作用を證明せり.然も作用強大なるMononucleotideは其等電點を示すpHにありて酵素力は最少となり,燐酸基を脱離するか若くはBrucin鹽と爲るとき酵素力を失ひ,然も解離恒數の近似値を示すThymus nuclein酸と酵母Guanyl酸とは同一濃度にて相一致する酵素力を示すことを確認せり.從つて此等化合物の酵素力は之と結合する陽イオンの影響多きを豫想しPyridinnucleotid及びGuanyl酸を試料とし得たる試驗結果下の如し.
(1) 兩種Nucleotide液はKOH, Ba(OH)2又はCu(OH)2液による中和によりて酵素力を著しく増大す.
(2) 兩種Nucleotide液は次の鹽類の添加によりKCl<BaCl2<AlCl3の順序に其酵素力は増大せられ,特にFe2(SO4)3は尚ほ強力なるも更にCuSO4は最も強大なり.
(3) 前報告にCuanyl酸液中銀鹽の存在にて酵素力の増大すること顯著なりと述べたり.
(4) 兩種Nucleotideに對するCuSO4溶液の最適濃度はN/20000にして然もpH5,6~6,4との間にありて酵素作用を促進すること最も顯著なり.
(5) 兩種Nucleotideを溶液より沈澱せしむる銅鹽はNucleotide同様強力なる酵素作用を有する事を認めたり.

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