日本化學會誌
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石灰と酸化チタンとの固體反應
田中 泰夫
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1940 年 61 巻 4 号 p. 345-355

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抄録

1. CaOとTiO2との種々の混合比のものを1350°Cに10時間加熱燒成するに,反應は固體間に於て進行し, CaO:TiO2=1:1の場合は完全にCaO-TiO2となり, CaOの之より過剰なる場合はCaOは之に固溶體として含まれ, CaOの最大含有量は略々3CaO・2TiO2に至るが,之以外の化合物の生成は認められなかつた. TiO2も亦僅にCaO-TiO2に固溶體として入り得るものと見られる.
2. 熔融物を急冷せる試料に就ても略々同様の結果を得た.
3. CaO・TiO2 (Perowskite)の結晶は等軸晶系に屬し,その格子常數としては〓=7.615Åを得た.然し主要なる干渉線のみをとる時は,他のPerowskite型の結晶と同様にこの半分の値を與へて良い. Perowskite固溶體の格子常數はCaOの含量と共に少しく増大し,又この場合次第に等軸晶系より外れる傾向がある.
4. 更に低温度に於てこの反應を行はしめてその經過を見るに, CaOとTiO2との固體反應にては先づCaO・TiO2を生じ,大部分のTiO2が反應せる後尚ほ過剰のCaOの存在する時はこのCaOがCaO・TiO2に固溶體として入るものと考へられる.
5. CaO・TiO2生成の速度は兩成分の生成層への擴散に依つて支配されるものと考へられ,反應の活性化エネルギーは920°-1050°C間に於て30, 300calである.
6. 生成せるチタン酸カルシウムは光に逢ひて淡紅色に着色する.この現象に就て二,三の觀察を行つた.

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