日本化學會誌
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Ascorbin酸オキシダーゼの化學的性質(第十二報)
田所 哲太郎高杉 直幹
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1940 年 61 巻 4 号 p. 356-358

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抄録

著者等はNucleotidの構造とAscorbin酸オキシダーゼ作用との關係を研究せんが爲め,酸素力の有無と吸牧スペクトルの變化に就き行へる實驗結果を要約するに下の如し. Pyridin-nucleotidのCo-zymase作用はDi-よリMononucleotidに變化するとき失はるるとせらるるもAscorbin酸オキシダーゼ作用は尚強力にして更に構造破壊せられ燐酸基の離脱せられて始めて該作用を失ふ. Guanyl酸の酵素作用も亦燐酸基と結合すべきBrucin鹽を作るか又は之を離脱してNucleosidとなるとき酵素力を失ふ.かかる場合の吸收スペクトルの變化を測定して下の如き結論に到達せり.
(1) Pyridin-nnclcotidのDi-よりMononucleotidに變化するとき260mμにある吸收スペクトルは却つて明瞭となるも燐酸基を離脱しAscorbin酸オキシダーゼ作用の微弱となるに從て該吸收帶も亦減少することを認む.
(2) Guany1酸にありても亦燐酸基の離脱により該酵素作用の微弱となるに從て26Oより255mμの位置に吸收帶を移行し前者消失の傾向あることを確認せり.
(3) Pyridin-nucleotid及びGnanyl酸の吸收スペクトルとAscorbin酸オキシダーゼ作用を有せざるInosin酸のものと比較するに後者260mμ部の吸收帶甚だ微弱にして吸光係數にありて著しき差異を認む.從て此部吸収帶はNucleotidのリボース・燐酸エステルの結合位置による不安定性の大なるもの程顯著なりと推定す.

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