日本化學會誌
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鹽酸アニリン並に其の誘導體の自己交換反應(第二報)
鹽酸パラトルイヂン
岡崎 信一黒田 自作
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1941 年 62 巻 1 号 p. 57-61

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抄録

先に鹽酸アニリンに就て發見せられたる自己交換反應を更に鹽酸パラトルイヂンを用ひて實驗した.此時も亦鹽酸アニリンに於て見られたると同様の自己交換反應の進行が見られるのであるが,實驗の結果を概括すれば次の如くである.
1) 鹽酸パラトルイヂンに於ける自己交換反應は其の融點(243°)よりも遙に下即ち約180°附近より認められ始め,其の速度は温度の上昇と共に急激に上昇する.
2) 此の鹽酸パラトルイヂンの自己交換反應に與るフェニル基の核水素の數は融點以下と以上とにて異り,反應相が融點以下の固相なる時には2個なるも融點以上の融解相なる時には4個に増加する.
此の(2)の結果より,自己交換反應の機作は反應相が融點以下の固相なるか融點以上の融解相なるかによりて異り,前者即ち融點以下の固相中に見られる自己交換反應は眞に固相中にて進行する反應であると結論して差支へないであらう.

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