日本化學會誌
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鹽酸アニリン並に其の誘導體の自己交換反應第一報
鹽酸アニリン
岡崎 信一
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1941 年 62 巻 1 号 p. 52-56

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抄録

鹽酸アニリンのフェニル基と-NH3Cl基との間の水素原子の交換反應を其の融點(198°)の附近に於て固相及び融解相で研究した.得られた結果を概括すれば次の如くである.
1) 此の反應は鹽酸アニリンの融點(198°)以下の固相中に於ても約180°以上の温度に於ては顯著なる速度を以て進行し,特に融點以上の融解相中に於ける進行速度は極めて大である.
2) 此の反應に與かるフェニル基の水素原子の數は3個であり,アミノ基に對しオルト及びパラの位置にあるものである.
3) o-, p-トリドイテリオ鹽酸アニリンは上の反應の逆反應を行ふ.
4) 存在する微量の水に依つて起る可能性のある溶液内反應を除外する爲めに,試料を約150°に於て眞空中にて昇華して後直に反應せしめたる結果も,上述の實驗と實驗誤差の範圍内に於て完全に一致した.終りに此の反應の機作に就て若干の考察を試みた.

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