日本化學會誌
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62 巻, 1 号
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  • 沈澱法に依るタカアミラーゼの精製(I)
    林 繁彌
    1941 年 62 巻 1 号 p. 1-4
    発行日: 1941年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    著者はタカアミラーゼがトリパフラヴィンによつて水に難溶性にして鹽溶液に可溶性の沈澱を生ずることを發見し,これを該酵素の精製に應用した.即ちタカアミラーゼ-トリパフラヴィンの沈澱を緩衝液に溶しアセトンで沈澱せしめ,これを水に溶して透析することによつて高純度のタカアミラーゼ溶液を得た.またアラビアゴム,アルギン酸等がトリパフラヴィンと同様の沈澱を生ずることよりタカアミラーゼ分子中に酸性のPolysaccharide群の存在を想像した.
  • 藤田 安二, 中原 公男
    1941 年 62 巻 1 号 p. 5-9
    発行日: 1941年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    Safrol mercurioxychlorideによる少量の精油中のSafrolの定量に關し實驗を行つた.本樟油關係精油中のSafrolを最大誤差±1.5%以内にて充分定量し得られ,又Safrol含量85%以上の油分に就ては±0.5%以下の誤差にて定量し得られる.この方法の利點は試料が少量で濟む事と定量と檢定を同時に行ひ得る事等である.
  • 鰮油中の新高度不飽和酸C16H24O2の化學的構造に就て
    土屋 知太郎
    1941 年 62 巻 1 号 p. 10-12
    発行日: 1941年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    鰮油より分離せるヘキサデカテトラエン酸のカリウム鹽をアルカリ性水溶液に於て,過マンガン酸カリを以て酸化分解したるに分解生成物として醋酸,著量の琥珀酸を得.なほマロン酸も多少存在するものと推定し得たり.又ヘキサデカテトラエン酸アミルをアセトン溶液に於て,過マンガン酸カリにて酸化分解したるに,主に琥珀酸モノアミルエステルより成れる水に不溶性状物質を得たり.從つてヘキサデカテトラエン酸はカルボキシル基の側に=CH・(CH2)2・COOHなる原子團を有す.而して上記琥珀酸の收率は=CH・(CH2)2・COOHなる原子團より生ずる琥珀酸の最高收率を著しく超過せるを以て,メチル基の側とカルボキシル基の側の原子團の間には=CH・CH2・CH=,及び=CH・(CH2)2・CH=なる原子團を有することを知る.而して本實驗に於ては一鹽基性酸として醋酸を檢出し得たるも,醋酸は=CH・CH2・CH=なる原子團の第二次的分解によりても生ずるを以て,果してメチル基の側の原子團がCH3・CH=なるか否かは確定するに至らざりしが,ヘキサデカテトラエン酸は炭素原子數16個にして二重結合4個を有し,メチル基の側とカルボキシル基の側との間にある原子團が=CH・CH2・CH=,=CH・(CH2)2・CH=なるを以て結局メチル基の側の原子團はCH2=或はCH3・CH=なり.之等原子團の配列順序は之を實驗的に證明を缺くも,曩に研究せるモロクチ酸,エイコサテトラエン酸,鰮酸等の化學的構造より類推して=CH・(CH2)2・CH=なる原子團がカルボキシル基の側に接近して存在するものと假定せばヘキサデカテトラエン酸の構造式は次の何れかなるべし.
    (1) CH3・CH=CH・CH2・CH=CH・CH2・CH=CH・(CH2)2・CH=CH・(CH2)2・COOH
    (2) CH2=CH・CH2・CH=CH・(CH2)2・CH=CH・(CH2)2・CH=CH・(CH2)2・COOH
  • 石橋 尚吾, 中島 茂春
    1941 年 62 巻 1 号 p. 13-15
    発行日: 1941年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    アリルヨードヘキサミンによりカドミウムを沈澱するにはpH=2.6~5.6を最適とす.此沈澱は重量分析並に容量分析(沃素酸シアン化カリ滴定法)により定量可能なり.酒石酸を鉛鹽として定量する際の最適條件はpH=3.9~4.7なり.
  • 瀬邊 惠鎧
    1941 年 62 巻 1 号 p. 16-21
    発行日: 1941年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    1) 右旋リモネンを酒精溶液に於いて二酸化セレンによりて酸化L其生成物を檢索せり.
    2) リモネン〓は二酸化セレンに反應して多量のセレンを含む物質を生じ,其一部は蒸氣蒸溜又は減應蒸溜によりて溜出す.其以外には(6)及(10)の位置が酸化されたる物質及p-シモールを生じ(7)のメチル基には作用を受けず(10)のメチル基が酸化されて生ぜる第一アルコール及アルデヒドは二重結合位置に變化なしとすれば夫々次の構造を有す.〓
    3) 〓なる構造を有する右旋性カルボン酸は融點81~81.5°にしてWallach1)がβ-テルピネオールニトロソクロリドより得たりと報ぜる物質と同一構造ならんと推定さる.
  • 瀬邊 惠鎧
    1941 年 62 巻 1 号 p. 22-28
    発行日: 1941年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    1) 先に加福,市川兩氏によりて一新物質として報告せられたるベニヒノールはd-ミルテノールに外ならざるを確め,臺灣紅檜精油が本邦に於けるミルテノール給源なるを知りたり.
    2) 紅檜材の香はベニヒナール即ちミルテナールに基くものなり.
    3) ミルテナールセミカルバゾンの融點は文献の記述と異り216~217°にて熔融分解す.
    4) ベニヒノール及ベニヒオールは構造に變化なく,五鹽化燐によりて鹽化物を生ず.
    5) ミルテノール及ベニヒオールの對應誘導體は二三を除き,旋光度に相異ある他多く類似の恒數を有す.
  • 加藤 述之
    1941 年 62 巻 1 号 p. 29-30
    発行日: 1941年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    硫酸ニッケルの水溶液をニッケル陽極及び水銀陰極間に電解して造つた可塑性のアマルガムは指頭を觸れるとザラザラした固體結晶を含んでゐることが分る.此の固體の部分をX線でしらべた所それは單一立方の結晶で,單位胞の一邊の長さ3.0097Åであることが分つた.
  • アミノ酸及其關聯化合物の研究第十三報
    高山 義太郎
    1941 年 62 巻 1 号 p. 31-33
    発行日: 1941年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    本研究は前報告(第十二報)1)に於てPhenylalanineの硝酸溶液の電解2)と同様Glycine, Alanine, Glutamic acid, Tyrosine等につき電解を行ひ何れも蓚酸の生成を確認したり.此成因に就ては是等の實驗の範圍内に於てα-アミノ酸の-CH(NH2)・COOH群より生成するものと推定せり.
  • アミノ酸及其關聯化合物の研究第十四報
    高山 義太郎, 津布久 靖二
    1941 年 62 巻 1 号 p. 34-37
    発行日: 1941年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    フェニルアラニンを8規定の硝酸と長時間100°に熱すれば主としてニトロ置換に依るp-Nitro-phenylalanineを生成す.されどそれに觸媒バナヂン酸を添加すればニトロ置換のみならず酸化反應起り主としてp-Nitrobenzoic acidを生成す.同様にチロシンの場合は8規定の硝酸と加熱により少量のピクリン酸と蓚酸を生成す.之にバナヂン酸を添加して行へばニトロ置換と酸化と行はれDinitro-hydroxybenzoic acid及びピクリン酸を主生成物として得らる.適當の條件にて行へば收量良くピクリン酸を生成す.尚是等の生成機構に就て記述せり.
  • 多量の鹽化物と共存する鹽素酸鹽及び過鹽素酸鹽の定量法に就て
    石橋 雅義, 原田 保男
    1941 年 62 巻 1 号 p. 38-43
    発行日: 1941年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    1. 海水及び類似水溶液を直接電解酸化せる時生成する鹽素酸イオン及び過鹽素酸イオンを多量の鹽量イオンの共存に於て各々を定量する目的を以て本研究を行つた.
    2. 鹽素酸イオンに對しては一定過剰量のMohr氏鹽を加へ,其の過剰量を硫酸第二セリウム標準液にて逆滴定する事によりて之を定量した.平均誤差=+0.24%.
    3. 過鹽素酸イオンに對しては一定過剰量の鹽化第一チタンを加へ,其の過剰量を硫酸第二セリウム標準溶液にて逆滴定する事によりて之を定量した.平均誤差=+0.15%.
    4. 之等両種のイオンが多量の鹽素イオンと共存する時には先づ鹽素酸イオンをMohr氏鹽の一定過剰を以て還元し此の過剰量を硫酸第二セリウム標準溶液にて逆滴定を行ふ.次で本溶液をアンモニヤ鹽基性となし生成する第二鐵及び第一セリウムの水酸化物を濾別し去し,濾液を酸性にしたる後一定過剰の鹽化第一チタンを加へて過鹽素酸イオンを還元したる後,過剰量の第一チタンを硫酸第二セリウム標準溶液を以て逆滴定する.此の時,鹽素酸鹽定量に關する平均誤差=+0.27%にして過鹽素酸鹽定量に關する平均誤差=+0.19%なるを示した.本分析を通じてすべて微量滴定操作を行つた.
  • 海水より由來する罐石の化學的組成I
    石橋 雅義, 品川 睦明, 重松 恒信
    1941 年 62 巻 1 号 p. 44-51
    発行日: 1941年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    1. 軍艦蒸化器附着罐石2種(舞鶴),眞空式製鹽装置附着罐石4種(赤穗),天日製鹽々田罐石2種(朱安)なる3群の試料に就きて定性,定量分析を行つた.
    2. 分析結果を見るに之等罐石は各々その成因により主成分Ca, Mg, SO4, CO3の含有量を異にする.
    3. 之等3群の試料は各群の成因によつて土壌に影響を受くること大なる順位,即ち天日,眞空式製鹽,軍艦の順に微量成分たるFe, Al, Mn, Sio2, Ti, Pの如き親土元素の含有量に大體に於て大中小の差別がある.
    4. 罐石の成分中には微量乍らその附着する器壁の材質が腐蝕混入してゐる.即ち本文中の分析例に見る如くFe, Cu, Snの如きはそれである.
    5. ラヂウムの定量を行ひたる結果,罐石1g當り10-13g桁のラヂウムを含有することを知つた.
    6. 金の定量を行ひたる結果,罐石1t當り0.04~0.20g程度の金を含有することを知つた.今海水1kgより罐石が約0.0001kg生ずると假定すれば罐石1tを得るに要する海水は約104tとなる.著者等は先に海水1t中に金を10-6桁含有することを知つたのであるから約104×10-6=10-2gの金が海水104t中に含有せらるることとなりて罐石分析結果と大約一致する.即ち海水中の金は殆ど罐石中に移行濃縮せらるることを發見實證し得たのである.
  • 鹽酸アニリン
    岡崎 信一
    1941 年 62 巻 1 号 p. 52-56
    発行日: 1941年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    鹽酸アニリンのフェニル基と-NH3Cl基との間の水素原子の交換反應を其の融點(198°)の附近に於て固相及び融解相で研究した.得られた結果を概括すれば次の如くである.
    1) 此の反應は鹽酸アニリンの融點(198°)以下の固相中に於ても約180°以上の温度に於ては顯著なる速度を以て進行し,特に融點以上の融解相中に於ける進行速度は極めて大である.
    2) 此の反應に與かるフェニル基の水素原子の數は3個であり,アミノ基に對しオルト及びパラの位置にあるものである.
    3) o-, p-トリドイテリオ鹽酸アニリンは上の反應の逆反應を行ふ.
    4) 存在する微量の水に依つて起る可能性のある溶液内反應を除外する爲めに,試料を約150°に於て眞空中にて昇華して後直に反應せしめたる結果も,上述の實驗と實驗誤差の範圍内に於て完全に一致した.終りに此の反應の機作に就て若干の考察を試みた.
  • 鹽酸パラトルイヂン
    岡崎 信一, 黒田 自作
    1941 年 62 巻 1 号 p. 57-61
    発行日: 1941年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    先に鹽酸アニリンに就て發見せられたる自己交換反應を更に鹽酸パラトルイヂンを用ひて實驗した.此時も亦鹽酸アニリンに於て見られたると同様の自己交換反應の進行が見られるのであるが,實驗の結果を概括すれば次の如くである.
    1) 鹽酸パラトルイヂンに於ける自己交換反應は其の融點(243°)よりも遙に下即ち約180°附近より認められ始め,其の速度は温度の上昇と共に急激に上昇する.
    2) 此の鹽酸パラトルイヂンの自己交換反應に與るフェニル基の核水素の數は融點以下と以上とにて異り,反應相が融點以下の固相なる時には2個なるも融點以上の融解相なる時には4個に増加する.
    此の(2)の結果より,自己交換反應の機作は反應相が融點以下の固相なるか融點以上の融解相なるかによりて異り,前者即ち融點以下の固相中に見られる自己交換反應は眞に固相中にて進行する反應であると結論して差支へないであらう.
  • 1941 年 62 巻 1 号 p. 61
    発行日: 1941年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
  • 森田 徳義
    1941 年 62 巻 1 号 p. 62-79
    発行日: 1941年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
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