日本化學會誌
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ポンカン(Citrus Poonensis, Hort)中に存在する-新フラヴァノン誘導體ポンカネチンの構造
市川 信敏山下 武夫
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1941 年 62 巻 10 号 p. 1006-1010

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抄録

臺湾新竹州下新埔附近に産する椪柑の未熟中に落果するもの,或は形状大さ其他の理由によりて商品價値なきもの利用の一方法として果皮を冷壓法に附して果皮精油を採取するに際し,該精油を靜置中に析出する白色結晶性物質あり.このものが如何なる物質なるや不明に屬するを以てその本體を究めその利用に就ての基礎研究を行ふべく本研究を開始したるものにして其の結果該結晶性物質は5, 6, 7, 8-4′ペンタメトオキシフラヴァノンなるを確定し得たり.これが利用に就ては別に報告せんとす.構造決定の方法は主としてアルカリによる分解生成物の檢索によりたり.即ち物質をアルカリにて分解したるにアニスアルデヒド及び〓-オキシテトラメトオキシアセトフェノンを生成することによりて確定したり.而して後者の證明には最近堀井善一氏によりて行はれたるノビレチン合成の過程に於ける本物質と同一物質の誘導體の混融によれり.著者等はこの新フラヴァノン誘導體に「ポンカネチン」と命名す.

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