日本化學會誌
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62 巻, 10 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
  • 酸化マグネシウムの觸媒作用(其一)
    和井田 統一郎
    1941 年 62 巻 10 号 p. 955-963
    発行日: 1941年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    酸化マグネシウムを觸媒となしエチルアルコールの接觸的熱分解反應を行ふ際酸化マグネシウムの製法の差異によりその接觸作用に優劣を認む.即ち炭酸マグネシウム又は硝酸マグネシウムの燒成にて得らるる酸化マグネシウム觸媒に比し,硫酸マグネシウム,鹽化マグネシウム或ひは硝酸マグネシウム等の鹽類水溶液に苛性アルカリを加へ沈澱せしめて得らるゝ酸化マグネシウム觸媒が活性良好なる事,又是等の沈澱觸媒は燒成温度300~350°Cを適温とし400°C以上にて燒成を行ふ時結果良好ならざる事,又燒成觸媒に就ては高温度に燒成せるものは低温度にて燒成せるものに比しその接觸作用劣る等の事實はエチルアルコールの接觸的熱分解に於て觀察さるゝ處なり.著者はその理を究明せんと欲し,炭酸マグネシウムの熱分解,水酸化マグネシウムの脱水轉移温度,酸化マグネシウムの水加反應,酸化マグネシウムの燒成による比重の變化,及び製法を異にせる酸化マグネシウム觸媒によるエチルアルコールの接觸的熱分解反應に關し研究を行へり.尚併せて菱苦土鑛より酸化マグネシウム觸媒の製法につきても少しく研究をなせり.本報告は其一部にして炭酸マグネシウムの熱分解及び水酸化マグネシウムの脱水轉移温度の研究に關するものなり.
  • 酸化マグネシウムの觸媒作用(其二)
    和井田 統一郎
    1941 年 62 巻 10 号 p. 964-969
    発行日: 1941年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    酸化マグネシウム觸媒によるエチルアルコールの接觸的熱分解反應に於て酸化マグネシウムの製法の差異によりその接觸能に優劣む認む.著者はその理を究明せんと欲し炭酸マグネシウムの熱分解,水酸化マグネシウムの轉移温度,酸化マグネシウムの水加反應,酸化マグネシウムの燒成温度による比重の變化並びに二,三製法を異にせる酸化マグネシウム觸媒によるエチルアルコールの接觸的熱分解反應に關し研究を行へり.本報告は其一部にして酸化マグネシウムの水加反應及び酸化マグネシウムの燒成温度の差異による比重の變化の研究に關するものなり.
    (1) 酸化マグネシウムの水加反應を60~400°Cの間に於て行ひ酸化マグネシウムの飽和水蒸氣流中に於ける水加反應を考察し,常に炭酸マグネシウムの燒成により得たる酸化マグネシウムが水酸化マグネシウムの燒成によりて得らるゝものに比し水加率及び水加速度大なる事をたり.
    (2) 酸化マグネシウムの比重は燒成温度及び時間の高低長短により異なる事を確認せり.又,炭酸マグネシウムの燒成によりて得らるゝ酸化マグネシウムは種々なる燒成條件に於て常に水酸化マグネシウムの燒成によりて得らるゝものに比し比重小なるを明にし本事實は酸化マグネシウムの水加反應及び酸化マグネシウムの接觸觸媒作用に一脈相關聯するものなり.
  • 吉田 統一
    1941 年 62 巻 10 号 p. 970-974
    発行日: 1941年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    スチロルを重鹽酸と共に加熱振盪し,一定時間後生成せる重合物即ヂスチロルを未反應のスチロルより分離し,その各々を燃燒して得たる水の中の重水素濃度を測定した結果,共に或程度迄重水素を含んでゐることを發見し,其時間的變化を實驗した.此の實驗の結果,及びスチロルの二分子重合反應は酸のみに依つて觸媒せられアルカリに依つては觸媒せられざることゝより,スチロルの二分子重合反應の機作を提出した.之に從へばスチロル分子に先ずプロトンが結着して活性なる分子を生じ,此の活性分子が更に未反應のスチロル分子1個と結着して中間生成物を生じ,此の中間生成物よりプロトンが褫奪せらるゝことに依つて反應は完結するものである.而して全體の反應速度は第一段のプロトンの結着速度に依つて決定せられる.
  • 原井 健三
    1941 年 62 巻 10 号 p. 975-977
    発行日: 1941年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    1) 硝子中の酸化鉛の定量分光分析の可能なりや否やを火花法を用ひて試みた.
    2) 酸化鉛と無水珪酸との混合粉末についてスペクトルを撮影し,酸化鉛の珪酸に對する比の對數log(PbO/SiO2)とスペクトル線強度比の對數log(IPb/ISi)とがほぼ直線關係にある事を認めた.
    3) 22種類の鉛含有硝子についてスペクトルを撮影し,前の場合と同様にlog(PbO/SiO2)とlog(IPb/ISi)とがほぼ直線關係にある事を認めた.尚此の場合の誤差は圖形より見て5~10%程度であつた.
  • イルメノルチル(福島縣手代木産)
    安藤 良一, 仁田 勇
    1941 年 62 巻 10 号 p. 978-983
    発行日: 1941年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    本邦産イルメノルチルの結晶構造をX線により,背面反射ラウエ寫眞,振動寫眞,粉末寫眞をとつて調べた.その結果イルメノルチルは金紅石型の結晶構造(空間群D144h-P4/m n m, Z=2)を有し,金紅石Tio2とモシツトMossit Fe (Nb, Ta)2O6との混晶をなしてゐる事を知つた.その格子常數は試料によつて稍々異り, a=4.59~4.66Å, c=2.94~2.99Å, c/a=0.639~0648と得られた.比重も各試料により定まらず, 4.83~5.06の間にある.尚5個の試料に就て,何れもコルンブ石Columbit(斜方晶系)を包含することが認められ,振動寫眞の結果からこのコルンブ石はイルメノルチルのc面にそのb面を平行にして連晶しがちな事を知つた.
  • 小谷野 格文, 伊藤 利平
    1941 年 62 巻 10 号 p. 984-989
    発行日: 1941年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    1) 鐵-ニッケル合金を觸媒としてアンモニアの分解速度を測定した所,温度上昇時觸媒が變態すべき温度に於て速度の急變がある事を認めた.
    2) 然るに温度を下降して行けば,變態の始まる温度は上昇の場合より低温度にあるに伴つて,ヒステレシスを示すべきに,實測は上昇下降全く一致してそれを示さなかつた.
    3) 燒鈍の温度,時間を變へ,又下降速度を變へても矢張りヒステレシスを示さなかつた.
    4) それらの原因に就き若干の考察を加へた.
    5) 實驗結果は,α態の方が見掛上の活性化熱が小であつた.
  • 還元機構の檢索
    森川 清, 木本 寅喜, 阿部 良之助
    1941 年 62 巻 10 号 p. 995-1000
    発行日: 1941年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    前報に於ては熱分解層の反應機構を明らかにしたが本報では熱分解層の次に位する還元層の反應機構を檢討し還元温度及水素流速に最適範圍の在る所以を明らかにした.又本分析法は酸素の直接定量以外に含酸素高分子有機化合物の水素氣流中熱分解の研究に利用し得る事を蔗糖,セルローズ,リグニンの實驗例を以て示した.
  • 木本 寅喜, 森川 清, 阿部 良之助
    1941 年 62 巻 10 号 p. 1001-1005
    発行日: 1941年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    試料が硫黄を含有する時は硫化水素を發生する爲ニッケル觸媒は容易に被毒せられて還元能力を失ふ.仍て著者等は硫黄を固定する目的を以てニッケル觸媒の前に還元銅を充填した處ニッケル觸媒の壽命は著しく永くなり其の結果同一觸媒で18~20囘分析を繰返す事が出來る様になつた.此の方法を炭化度の異なる3種の石炭の分析に適用して試料加熱温度と酸素放出率との關係を求めた處炭化度と一定の關係を示す興味ある結果を得た.
  • 市川 信敏, 山下 武夫
    1941 年 62 巻 10 号 p. 1006-1010
    発行日: 1941年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    臺湾新竹州下新埔附近に産する椪柑の未熟中に落果するもの,或は形状大さ其他の理由によりて商品價値なきもの利用の一方法として果皮を冷壓法に附して果皮精油を採取するに際し,該精油を靜置中に析出する白色結晶性物質あり.このものが如何なる物質なるや不明に屬するを以てその本體を究めその利用に就ての基礎研究を行ふべく本研究を開始したるものにして其の結果該結晶性物質は5, 6, 7, 8-4′ペンタメトオキシフラヴァノンなるを確定し得たり.これが利用に就ては別に報告せんとす.構造決定の方法は主としてアルカリによる分解生成物の檢索によりたり.即ち物質をアルカリにて分解したるにアニスアルデヒド及び〓-オキシテトラメトオキシアセトフェノンを生成することによりて確定したり.而して後者の證明には最近堀井善一氏によりて行はれたるノビレチン合成の過程に於ける本物質と同一物質の誘導體の混融によれり.著者等はこの新フラヴァノン誘導體に「ポンカネチン」と命名す.
  • 植物生體内に注入せるシトロネラールの變化(其一)
    藤田 安二
    1941 年 62 巻 10 号 p. 1011-1013
    発行日: 1941年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    ガジュマル(Ficus retusa Linn.)生體内にd-Citronellalを注入し,長く放置してその變化を檢したるにCitronellalは容易に變化されて還元作用を蒙りd-Citronellolとなる事が分つた.
    この外少量のGeraniol, Nerolの生成及びl-Limoneneの生成をも證明する事が出來たが,この事によりジャパシトロネラ油の發生機構が全く明かになつた.即ちシトロネラ草の生體内に於てもd-Citronellal→d-Citronellol→Geraniol, Nerol→l-Limoneneの反應が行はれつつある事を推定し得るのである.
  • イヌカウジュダマシ(新稱)の精油(其一)
    藤田 安二
    1941 年 62 巻 10 号 p. 1014-1017
    発行日: 1941年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    形態的にはイヌカウジュ系に屬し,成分的にはヒメジソ系に屬するイヌカウジュ屬植物が發見され,精油の收率0.30%,精油はd-Limonene, a-Caryophyllene,及びAsaroneよりなる事が證明せられた.かくしてこのものにイヌカウジュダマシなる新稱が附され,その系統的位置が追究鮮明せられた.
  • 田所 哲太郎, 高杉 直幹
    1941 年 62 巻 10 号 p. 1018-1021
    発行日: 1941年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    著者等はPoly-, Di-及びMononucleotidは共にAscorbin酸オキシダーゼ作用を有する事を認め,且つ動植物より分離せる該酵素力ある蛋白質にもNucleotid構造を證明せり.酵素力の原因として分子中の不安定燐酸基を指摘し, PolyよりMonoに移るとき又Ag及Cuイオンにより酵素作用は増進せらる.そ最適pH5.8にあるが該NucleotidをpH7.2せばDehydrogenase作用顯はれAg及Cuにより阻止せられMgにより促進せらる.然もMg効果は糖及アルコールと有機酸(枸櫞酸,乳酸,焦性葡萄酸)との間に差異あり. Guanyl酸の燐酸基を脱離せるものにもVitamin B1にも共にDehydrogenase作用は認めらる.後者の分解物の酵素作用上Mgの効果はThiazol環に原因し而も該環中の窒素と副化合價により結合することを推定してCozymase, Nucleotid及びChlorophyllの場合との相似性を指摘せり.
    本報告にはVitamin B1の分解様式を異にするもののDehydrogenase作用の消失するや否やを試験せり.
    (1) Vitamin B1水溶液の紫外線照射による時間の延長に從つてDehydrogenase作用上Mg効果は失はれ而も吸收スペクトルは260-265mμの部分を消失す.
    (2) Thiochromの生成によりDehydrogenase作用上Mg効果は失はる.
    (3) Vitamin B1亞硫酸鹽及硝酸處理によるThiazol誘導體は共にMannouron酸Dehydrogenase作用上Mg効果を顯はす.又Glucosaminに就いても亦同様なるもGlucosamin酸となれば効果を失ふ故にMgの作用は-CHO基に關係すと推定せらる. Pyridinucleotidにより同一試驗を行ふにDehydrogenase作用はGlucosaminのGlucosamin酸となりて微弱となりMg効果は全く失はる.
  • 妻木 徳一, 服部 省爾
    1941 年 62 巻 10 号 p. 1022-1027
    発行日: 1941年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    (1) 1,2-Diphenyl-3,5-diketopyrazolidinとベンジルとを縮合せしめて1,2-Diphenyl-4-(benzoyl-phenyl-methylen)-3,5-diketopyrazolidinを得た.
    (2) 1,2-Diphenyl-3,5-diketopyrazolidinとベンジルとを縮合せしめて1,2-Diphenyl-4-(β-oxy-α, β-diphenyl-äthyliden)-3,5-diketopyrazolidinを得た.
    (3) 1,2-Diphenyl-3,5-diketopyrazolidinとニトロソベンゼン,ニトロソフェノール,ニトロソヂメチルアニリンとの縮合反應を試みた.その際豫期の縮合物は得られなかつたが何れの場合もphototropieの現象を現はす同一の無色針状の結晶を得た.この結晶は389mμより短い波長の光に感じて赤紫色に變じ暗所にて再び無色となる.この物質は1,2-Diphenyl-3,5-diketopyrazolidinが上記種々のニトロソ化合物によつて酸化せられたる結果生じたる1,1′,2,2′-Tetraphenyl-3,3′,5,5′-tetraoxo-4,4′-bispyrazolidylである.又この化物物は1,2-Diphenyl-3,5-diketopyrazolidinを過酸化水素によりて酸化しても得られた.尚Phototropieを現はす化合物をベンゼンに溶かし置きて日光を照射せしに概化合物の異性體に當る黄色針状結晶を得た.
  • 2, 3-Dimethylpentanediol-(2, 3)の接觸的脱水
    桑田 猛
    1941 年 62 巻 10 号 p. 1028-1034
    発行日: 1941年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
  • 2, 3-Dimethylpentanediol-(2, 3)の接觸的脱水
    桑田 猛
    1941 年 62 巻 10 号 p. 1035-1041
    発行日: 1941年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    H. Meerweinは2, 3-Dimethylpentancdiol-(2, 3)を8倍量の濃硫酸を0°に冷却しつゝ反應せしめ64%の收量にて粗チセン化合體を得.これが融點[136~138°]のセミカーバゾーンを與へ,次亞臭素酸酸化にてDimethyylethyl acetic acidを生成する事より3, 3-Dimethylpentanediol-(2)なりとせり.而して不飽和炭化水素の生成に就きては述ぶる所なし.著者は前報にて報告せる2, 3-Dimethylpentanediol-(2, 3)の接觸的脱水を行ひたると同様の觸媒及び操作にて反應を行ひたり.
  • 3, 4-Dimethylhexanediol-(3, 4)の接觸的脱水
    桑田 猛
    1941 年 62 巻 10 号 p. 1042-1051
    発行日: 1941年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    著者は曩に第一報1)に於ては2, 3-Dimethylbutanediol-(2, 3)の第二報2)にては2, 3-Dimethylpen-tanediol-(2, 3)の接觸的脱水を研究したり.本報文にては3, 4-Dimethylhexanediol-(3, 4)の接觸的脱水を研究し,併せて之等結果よりα-Glycolの接觸脱水反應を見んとす.
  • 2, 3, 6-トリメトキシ安息香酸の合成
    伊川 正久
    1941 年 62 巻 10 号 p. 1052-1056
    発行日: 1941年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    古川周氏により公孫樹(Ginkgo biloba L.)の葉より單離せられ“結晶B”と稱せられたる黄色結晶性物質に對しW. Bakerは新しいフラヴォン型の構造式を提出したが,著者は之に關聯して研究を進め,且つ從來合成されて居ないフラノフラヴォン類を合成する事を目的とし,先づo-クレゾールより出發し2, 3, 6-トリメトキシ安息香酸を合成した.
  • 還元銅に依る環状化合物の核内水素添加の研究(其四)ペントザン分解物に關する研究(第1報)
    杉野 喜一郎, 古見 眞幸
    1941 年 62 巻 10 号 p. 1057-1065
    発行日: 1941年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
  • 水島 三一郎, 森野 米三, 藤代 亮一
    1941 年 62 巻 10 号 p. 1066-1067
    発行日: 1941年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
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