1941 年 62 巻 11 号 p. 1095-1098
種々の方法により得られたリグニン及びその誘導體をアルカリの存在の下に於てニトロベンゾールにより酸化し,其際に生ずるヴァニリンの量を定量し,之によりそれ等のリグニンの酸化の難易を調べた.杉材より得られた70%硫酸リグニン,アルカリリグニン,アルカリ開裂リグニン及びメチルリグニンに就て行ひ,その結果得られたヴァニリン量はアルカリリグニン> 70%硫酸リグニン>アルカリ開裂リグニン>メチルリグニンの順であつた.即ち豫想される如くメチル化により保護されたメチルリグニンでは少く,又初めにアルカリで處理して可溶性としたアルカリリグニンでは最も多かつたが豫期に反し最も酸化され易いと思つたアルカリ開裂リグニンでは極めて少かつた.
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