1. 還元ニッケルの存在にてスチレンの臭化水素附加を實驗し,その結果を酸素や過酸化物の存在する時と比較した.
2. 溶媒を使用せぬ時には還元ニッケル或は酸素の存在に於ても猶正常附加が主として行はれる.
3. 溶媒を用ひた時,四鹽化炭素中では還元ニッケル及酸素による異常附加は現はれず,ベンゼン中では微弱に示され,リグロインを使用して始めて効果が顯著に認められた.然しこの場合にも還元ニッケルの効果は僅少であつた.かくて溶媒の影響について考察した.
4. 無水臭化ニッケルは正常附加を促進し,酸素や過酸化物の効果をも著しく妨碍す.
5. 還元ニッケルの効果の微弱なる事には生成せる臭化ニッケルの妨碍作用が考へられる.
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