抄録
d-酒石酸-硫酸銅-苛性曹達系錯鹽溶液の旋光分散を測定した結果旋光性が右旋を示す組成の溶液の場合には旋光性は端吸收に相當する波長に近づくと急激に増大するが,溶液の旋光性が左旋を示す場合即d-酒石酸0.01モル/l,硫酸銅0.01モル/l,苛性曹達0.037モル/lの組成の溶液の旋光性は端吸收近くの波長に於ても變化が少い.此の事實は前者の旋光性と後者の旋光性とは別種のものであることを示してゐる.即前者の場合はd-酒石酸分子の旋光性によるものであり,後者の場合は錯基の不齊構造によつて生ずる旋光性であると考へられる.此の結果により第四報に於ける著者の説明が確められた.