日本化學會誌
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オキシ化合物を配位せる金屬錯鹽の研究(第六報)
マンニット-銅-アルカリ系錯鹽溶液の旋光性
久保田 正雄
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1941 年 62 巻 2 号 p. 93-95

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抄録

(1) マンニット-銅-アルカリ系錯鹽溶液の旋光度はマンニット及銅の量を一定にしてアルカリの量を變へるときアルカリ濃度の比較的低い間はアルカリの量が増すにつれ急激に旋光度を増加する.之はアルカリ濃度の増加によりマンニット分子の作る分子内錯化合物の構造に變化を來す爲と考へられる.又アルカリ濃度の極めて高い場合に旋光度の減少するのは,マンニット分子のラセミ化の爲と説明される.
(2) 旋光度の測定結果により,溶液中のアルカリ濃度が高い時或はマンニットが溶液中に過剰に存在するときは,銅イオン1個に對し最高マンニット2分子配位結合せる錯基が生成するものと考へられる.
(3) 第五報1)及び本報の結果から,一般に其の吸收帯に相當する波長に近づくにつれ左旋(又は右旋)の方向に旋光度を急激に變化する旋光性物質を配位せる金屬錯鹽溶液の旋光性は其の特殊吸收帯に相當する波長に近づくにつれ右旋(又は左旋)の方向に旋光度を變化するといふ一法則を認む.

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