日本化學會誌
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臭化チオフォスフォリルの分子構造に就て(其二)
末永 勝二
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1941 年 62 巻 3 号 p. 227-233

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抄録

臭化チオフォスフォリルの双極子能率をベンゼン及び四鹽化炭素を溶媒とする稀薄溶液で測定した.その値は温度に關しての變化を示さず, 1.58D (C6H6; 10°C, 25°C, 28°C)及び1.43D (CCl4; 0°C, 25°C)と求められた.此の他臭化チオフォスフォリル-四鹽化炭素-二成分液相系の0~1の種々の濃度に對する透電恒數(40°C)を測定し,之よりP12及びP2の曲線を求めた又臭化チオフォスフォリル純一體の透電恒數を18°Cより48.8°Cに至る種々の温度で固相,液相兩相に亘つて測定した.この結果は固相に於てε=3.7前後(見掛上)の値を與へ,液相に於てはε=6.2前後の,但し温度と共に漸次減少する,値を示し,結晶構造と分子構造との關係から正常に理解され得る擧措を現はして居る.最後に以上求められた實驗結果と前に決定した結晶構造との知識から臭化チオフォスフォリル分子の構造に關し若干の考察をなした.

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