日本化學會誌
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温泉の化學的研究(第九報)
弗素の一新比色定量法
奥野 久輝
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1942 年 63 巻 1 号 p. 23-26

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抄録

明礬溶液250cc(アルミニウム0.1~1.5mg)に炭酸アムモニウム飽和溶液5ccとヘマトキシリン0.1%溶液2~10ccを加へて15分間放置し,後醋酸(1:2) 5ccを加へて酸性にするときは美しい赤紫色を呈する.この溶液を試藥として弗素を含む溶液に加へるときは,弗素の含量に應じて赤紫色が褪色して赤褐,褐,黄等の色を示す.この弗素の作用を利用して甚だ鋭敏な檢出及比色定量法を考案した.アルミニウムとヘマトキシリンの量を適當に撰ぶことにより數種の試藥が得られ更に供試液に對して加へる試藥の量を加減することにより, 0.001mg/50cc以上の弗素の種々な濃度に亘つて比色を行ひ得る.弗素はF′としても,またSiF″としても同様である.普通の陸水中に含有せらるゝ程度の他成分は本比色法の妨害とならない.

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