日本化學會誌
Online ISSN : 2185-0909
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63 巻, 1 号
選択された号の論文の20件中1~20を表示しています
  • 酸化マグネシウムに對する鹽類の助觸媒効果に就て
    長澤 徹, 和井田 統一郎
    1942 年 63 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1942年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    エチルアルコールの接觸的熱分解による1, 3-Butadieneの合成の研究を行ひ酸化マグネシウムに鹽化物,硫酸鹽,燐酸鹽等を添加せるものが有効なることを見出せり.又Hydrated waterを有する酸化マグネシウムが本反應に優秀なる結果を示すは前報にて報告をなせし處なれども之に前述の鹽類を助觸媒して添加せるものは尚一層良好なる結果を示せり.
    之等の鹽類を添加せる場合に於ても反應温度は約400°を最適とし又觸媒の焙焼温度は400°以上にては成績良好ならざること,及び水酸化マグネシウムの脱水轉移温度が400°なることよりMgOの接觸作用の強弱はそのHydrated waterに由來するものあらんことを再確認せり.
  • 川久保 正一郎
    1942 年 63 巻 1 号 p. 9-11
    発行日: 1942年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    コバルトアムミン錯鹽を空氣氣流中に加熱する時は,錯基中アムモニア分子は200°C以下の比較的低温に於て酸化せられ,窒素酸化物の生成を認める事が出来た.
  • 川久保 正一郎
    1942 年 63 巻 1 号 p. 12-14
    発行日: 1942年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    アムモニアを酸化して硝酸を得る反應に於て觸媒として使用せられる白金及びコバルト等にアムモニアを配位せる錯鹽がよく發達して居る事實に鑑に,アムモニア錯鹽に於けるアムモニア分子の酸化を研究し,それが200°C以下の比較的低温で容易に酸化せられる事を認め第一報として既に發表して.その研究を續行して得たる結果を報告する. [Co(NH3)6]Cl2は100°C以下於てはアムモニアの酸化が起らない.その他[Co(CONH3)6]2(SO4)3・4H2O, [CO(NH3)5(H2O)](SO4)3・3H2O, [Co(NH3)4(H2O)2]3(SO4)2・3H2Oに就て實驗を行ひ,窒素酸化物の收量のよい反應温度は錯鹽により異なる事等を認めた.
  • ナイロン中間體の合成(1)
    星野 孝平, 野一色 畿三郎
    1942 年 63 巻 1 号 p. 15-18
    発行日: 1942年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    シクロヘキサノールの硝酸酸化によるアヂピン酸の合成及接觸反應によるアヂポニトリルとヘキサメチレンヂアミンの合成について實驗した.
  • 福岡縣,大分縣下の二三の温泉のラドン含有量
    岩崎 岩次, 浮木 勇, 星加 倫良
    1942 年 63 巻 1 号 p. 19-22
    発行日: 1942年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    昭和16年5月から9月までに九州北部(福岡縣及び大分縣)の温泉22個所のラドン含有量の測定を行つた.ラドン含有量は花崗岩地方から湧出する温泉に最も多く,水成岩地方からの温泉には最も少い.
  • 弗素の一新比色定量法
    奥野 久輝
    1942 年 63 巻 1 号 p. 23-26
    発行日: 1942年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    明礬溶液250cc(アルミニウム0.1~1.5mg)に炭酸アムモニウム飽和溶液5ccとヘマトキシリン0.1%溶液2~10ccを加へて15分間放置し,後醋酸(1:2) 5ccを加へて酸性にするときは美しい赤紫色を呈する.この溶液を試藥として弗素を含む溶液に加へるときは,弗素の含量に應じて赤紫色が褪色して赤褐,褐,黄等の色を示す.この弗素の作用を利用して甚だ鋭敏な檢出及比色定量法を考案した.アルミニウムとヘマトキシリンの量を適當に撰ぶことにより數種の試藥が得られ更に供試液に對して加へる試藥の量を加減することにより, 0.001mg/50cc以上の弗素の種々な濃度に亘つて比色を行ひ得る.弗素はF′としても,またSiF″としても同様である.普通の陸水中に含有せらるゝ程度の他成分は本比色法の妨害とならない.
  • 岡部 建藏
    1942 年 63 巻 1 号 p. 27-30
    発行日: 1942年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    萬松寺鑛泉に就きては先に本研究第III報2)に於いて,その過酸化水素分解の觸媒作用に就き報告せり.本第2號泉は先の第1號泉より僅か1mを距てゝ湧出せるものであるが,該觸媒作用は第1號泉に比して著しく大きく,又其活性度は老化の現象を見ず,更に過酸化水素分解の反應速度は一次式に適合せず,反應の進行と共に一次速度恒數は減少する.
  • 水島 三一郎, 森野 米三, 平林 久雄, 柿原 幸二
    1942 年 63 巻 1 号 p. 31-35
    発行日: 1942年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    波長7mの超高周波發振裝置を組立て,之を用ひて一酸化炭素並に炭酸ガス中に焔型放電を發生せしめ,その壓力による變化を觀測し同時にそのスペクトルを撮影した.それ等の實驗結果に基いて焔型放電の發光機構に對する分子論的考察を行つた.
  • 鹿目 彰, 千谷 利三
    1942 年 63 巻 1 号 p. 36-40
    発行日: 1942年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    酸化銅を觸媒とする一酸化炭素の接觸酸化を,重酸素を利用して研究した結果,次の結論に到達した.
    (1) 接觸酸化反應は150°附近より活溌に起り始め, 400°以上に於ては酸化は完全である.
    (2) 反應温度が400°附近より以上となれば,酸化生成物たる炭酸瓦斯と酸化銅との間に次の反應が起り始める.
    CuO+CO2〓CuCO3
    (3) 更に温度が上りて550°附近より以上となれば,次の反應が並發し始める.
    2CuCO3→Cu2O+2CO2+1/2O2
    Cu2O+1/2O2→2CuO
  • 中田 茂生
    1942 年 63 巻 1 号 p. 41-44
    発行日: 1942年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    酸化銅の表面に於ける一酸化炭素の接觸酸化を,重酸素瓦斯を用ひ且120°乃至300°の温度に於て行つた處,反應の進行に伴つて酸化銅の中の酸素が漸次に重酸素によつて置接せられて行くことを見た.又同じく重酸素を用ひて作つた化銅の表面に於て,通常の一酸化炭素と酸素瓦斯との間の反應を120°乃至130°の温度に於て行はしむれば,酸化銅の中の重酸素が通常の酸素によつて次第に置換せられて行くことを見た.然るにかゝる温度に於ては酸化銅と酸素瓦斯とは直接に酸素原子の交換反應を行はざることが知れて居る故,以上の實驗結果は酸化銅の表面に於ける一酸化炭素の接觸酸化が,次の如き機作によつて行はれて居るとする假定に對する,一つの實驗的の支持であると考へられる.
    2CuO+CO=Cu2O+CO2
    Cu2O+1/2O2=CuO
  • 川本 時雄
    1942 年 63 巻 1 号 p. 45-54
    発行日: 1942年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    1) ニッケル・クロマイト觸媒により,イソボルニール・アニリン及びメンチル・アミンの接觸反應を行ひ,反應生成物より,脱水素反應と共に,一部脱アミン反應の伴ふことを推論せり.
    2) 硝酸ニッケルとクロム酸アンモニウムとの反應にて得らるゝニッケル・アンモニウム・クロメイト錯鹽の生成條件,及錯鹽の熱分解により生成するニッケル・クロマイトの焼成温度,による組成と觸媒能との關係を檢討し, 30°にて生成せる錯鹽を400°にて焼成せるものが最も脱水素反應に適すとせり.
  • 臺灣産イヌカウジュ及びタイワンヒメジソのセスキテルペンに關する補遺
    藤田 安二
    1942 年 63 巻 1 号 p. 55-57
    発行日: 1942年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    Eudalene及びCadaleneのTrinitrobenzolateが作られ再檢討せられた.この事によりイヌカウジユ精油のセスキテルペン中には脱水素によりEudalene及びCadaleneを與へるSesquiterpeneが存在する事が明かとなり,タイワンヒメジソも亦脱水素によりCadaleneを與へるSesquiterpeneを含む事が明かとなつた.
  • 樟幼苗の精油の成分に就て
    藤田 安二
    1942 年 63 巻 1 号 p. 58-63
    発行日: 1942年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    樟幼苗の精油の生化學的研究の前提として幼苗の精油成分を調べた.樟幼苗の葉莖油は樟腦の外, α-Pinene, Limonene, 〓-Linalool, α-Terpineol, Safrol, Methyleugenol, α-Caryophyllene其他よりなる.
  • 鮪肝油並に鮪骨油に就て
    畑 忠太, 國崎 辰喜
    1942 年 63 巻 1 号 p. 64-70
    発行日: 1942年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    鮪はマグロ科の海産硬骨魚にして學名T〓nnus orientalis (Temminck et Schlegel),生肝臟の含油率18.5%,ヴィタミンA源として盛に採油せられその含量約6萬國際單位を示す.不鹸化物は8.55%に相當しヴィタミンAを主成分とし他にコレステロールの少量を含み,脂肪酸はオレイン酸28%,パルミチン酸26%,鰛酸23%アラキドン酸10%,ヘクサデカトリエン酸6%,ステアリン酸4%,ミリスチン酸2%及他に少量のオレイン酸列C20, C22酸よりなる.
    骨油は骨粉製造の際副生する油にしてヴィタミンAの呈色反應陰性,不鹸化物の含量も微量にして特徴なく脂肪酸はパルミチン酸,オレイン酸を主成分とし,他にミリスチン酸,ステアリン酸,鰛酸及エイコセン酸を含有す.
  • (第一部,鉛:第四報)比色分析竝に定量的沈澱に必要とする亞セレン酸試藥量
    成井 芳男
    1942 年 63 巻 1 号 p. 71-73
    発行日: 1942年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    1) 微量の鉛を亞セレン酸鹽として沈澱せしめ化合せる亞セレン酸量を沃度加里法にて比色定量する事により鉛の定量が可能なる事を證明した.
    2) 亞セレン酸鉛の沈澱反應の鋭敏度は1:400000にして,アルコール添加により鋭敏度が増加する事は認められない.
    3) 鉛を完全沈澱せしむるために添加すべき亞セレン酸量は種々なる條件下に於て計算量の3~6倍を必要とし,鉛が微量なる場合には更に多量を要する.従て沈澱滴定及間接滴定等には不適當である.
  • 木村 修
    1942 年 63 巻 1 号 p. 74-75
    発行日: 1942年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    Aerosolは不安定にして,短時間に沈降するを以て,之を研究するにあたり,之を水中に吹込みHydrosolとすれば,安定にして,研究に容易なり.本研究は,種々の金屬のAerosolを作り之を水中に吹込みてHydrosolを製り,その性質の概略を調べた.
  • 田所 哲太郎
    1942 年 63 巻 1 号 p. 76-82
    発行日: 1942年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    著者はAscorbin酸オキシダーゼ作用あるNucleotidをpH7.2にて處理するときDehydrogenaseとなる事實を認め本誌に數囘報告1)せり.更にVitaminB1のDehydrogenase作用も亦Thiazol環に歸因してpH7.2にて行はるゝを知れり.兩型に屬する9種の誘導體を使用し實驗の結果次の如き酵素及び基質の構造に關するものとMgの賦活に對するものとに推論を下せり.
    茲に酵素試料として使用せしNucleotid類を擧ぐればTetranucleotid中酵母及胸腺ヌクレイン酸, Dinuclleotid中Pyridinnueleotid (Cozymase), Mononucleotid中Guanyl酸とGuanosin等とす. Vitamin B1と其誘導體なる4・Methyl 5・β・hydroxyethyl・thiazol, 4・Methylthiazol・5・carbon酸及び4・Methyl・5・β・chloroethylthiazol等をも使用せり.以上合計9種中前5種をNucleotid型,後4種をThiazol型Dehydrogenaseとの呼稱の下に便宜上區別して記載す.
    Dehydrogenage構造の差異と作用の強弱.
    (1) Nucleotid型の酵母ヌクレイン酸, Guanyl酸及びGuanosinは共に基質とせるマンノースグルコサミンとの間に大差なきもThiazol型のVitamin B1, 4・Methyl 5・β・hydroxylethylthiazol及び4・Methylthiazol 5・carbon酸は共にマンノースに比しグルコサミンを基質とせるときDehydrogenase作用弱し.
    (2) Nucleotid型のGuanyl酸は焦性葡萄酸>乳酸及びアルコール>ガラクトースの如く差異顯著なるもThiazol型の4・Methyl 5・β・hydroxyethylthiazolにありては前2者及び後2者間のDehydrogenase作用強弱の差甚だ少し.
    (3) Nucleotid型Dehydrogenaseの5種は共に構造中-CH2OH基を含有して酵素作用の顯はるゝを知る.
    (4) Alloxazin-nucleotidの黄色酵素, Pyridinnucleotidの可逆性脱水素作用も共に不安定型燐酸の去就により-CH2OHの出現によりて作用顯著となる.
    (5) Thiazol型4種のDehydrogenase中-CH2OH基を有するVitamin B1, 4・Methyl 5・β・hydroxyethylthiazolは共に作用強大なるも-CH2OHの-COOHと變化せる4・Methyl-thiazol 5・carbon酸の作用は弱く4・Methyl 5・β-chloroethylthiazolとなり-CH2OHの-CH2Clとなるとき全く其力を失ふ.
    基質構造の差異とDehydrogenase作用の強弱.
    (1) 基質構造中特定基を異にするマンノースとマンノウロン酸とグルコサミンを取りNucleotid型のPyridinnueleotidとGuanyl酸, Thiazol型のVitamin B1と4・Methyl 5・β-hydroxyethylthiazolを選びDehydrogenase作用を比較するに兩型酵素力はマンノースにありて強力にしてマンノウロン酸に弱し,又グルコサミンに對してはNucleotid型は共に強きもThiazol型は一致して弱きを認む.
    (2) 基質構造を異にするマンノース,マンノウロン酸,グルコサミン,グルコサミン酸及びアルコール等を取り, Thiazol型中の4・Methyl 5・β-hydroxyethylthiazolと4・Methylthiazol 5・carbon酸とを選びDehydrogenase作用を比較するに兩者共にマンノースに強くマンノウロン酸に弱くグルコサミンに弱くグルコサミン酸にて其力を失ふ.然るにアルコールにては4・Methyl 5・β-hydroxyethylthiazolは強きも4・Methylthiazol 5・carbon酸は極めて微弱にして認め難きに至る.
  • 上野 誠一, 木村 多可
    1942 年 63 巻 1 号 p. 83-86
    発行日: 1942年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    Dr. H. P. Kaufmannからの依頼により,油脂研究國際委員會1)にて決定せる定量方法に基き,獨逸より配布せられたる試料(亞麻仁,落花生,コプラ)に就て種子中の油脂の定量を行ひしに,委員會にて決定せる3方法に對し夫々次の如き批判を下し得た.
    1) フランス法に對して
    (1) 試料取扱ひに關し,更に詳細に操作法を説明して誤差を防ぐ様にすべき事,及び試料の採取量過多なる事,等が缺點である.
    (2) 3種の溶媒は何れかに一定されたい.石油エーテルが最適當であると思はれる.
    2) イタリー法に對して
    (1) フランス法と同様供試量の過多なる事,種子の處理方法不完全なる事,等が缺點である.
    (2) 抽出前種子の豫めの乾燥を行はぬ事となつて居るがアセトンによる抽出に際し不便を生じた.
    3) ドイツ法に對して
    油脂及水分の定量方法は何れも缺點無く操作も圓滑に進み大體に於て賛成し得る方法である.就中, (1) 供試量5~10gの規定は,時間的にも,装置に於ても無理が無い事, (2) 石油エーテルに關する規定を設けて溶媒の不純さから來る誤差をぐ様考慮されな居る事等が特にすぐれて居る.
    要するに獨逸法が最適當であることを認めた.
  • 莵原 逸朗, 小川 正明
    1942 年 63 巻 1 号 p. 87
    発行日: 1942年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
  • 濱井 専藏
    1942 年 63 巻 1 号 p. 88-89
    発行日: 1942年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
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