日本化學會誌
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種子中の油脂定量法
上野 誠一木村 多可
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1942 年 63 巻 1 号 p. 83-86

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抄録

Dr. H. P. Kaufmannからの依頼により,油脂研究國際委員會1)にて決定せる定量方法に基き,獨逸より配布せられたる試料(亞麻仁,落花生,コプラ)に就て種子中の油脂の定量を行ひしに,委員會にて決定せる3方法に對し夫々次の如き批判を下し得た.
1) フランス法に對して
(1) 試料取扱ひに關し,更に詳細に操作法を説明して誤差を防ぐ様にすべき事,及び試料の採取量過多なる事,等が缺點である.
(2) 3種の溶媒は何れかに一定されたい.石油エーテルが最適當であると思はれる.
2) イタリー法に對して
(1) フランス法と同様供試量の過多なる事,種子の處理方法不完全なる事,等が缺點である.
(2) 抽出前種子の豫めの乾燥を行はぬ事となつて居るがアセトンによる抽出に際し不便を生じた.
3) ドイツ法に對して
油脂及水分の定量方法は何れも缺點無く操作も圓滑に進み大體に於て賛成し得る方法である.就中, (1) 供試量5~10gの規定は,時間的にも,装置に於ても無理が無い事, (2) 石油エーテルに關する規定を設けて溶媒の不純さから來る誤差をぐ様考慮されな居る事等が特にすぐれて居る.
要するに獨逸法が最適當であることを認めた.

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