日本化學會誌
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油脂並に關係物質の硫酸化(第一報)
オリーヴ油液體酸石鹸乾溜物の硫酸化に就て
上野 誠一安西 林之助
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1942 年 63 巻 8 号 p. 978-982

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抄録

(1) オリーヴ油液體酸石鹸をナトリウムメチラートの存在で常壓乾溜して,石油樣乾溜溜出物を得た.この物質は主としてオレフィン系炭化水素を含み酸性物質を含まず.
(2) 上記乾溜物を12mm壓下にて減壓蒸溜して140°C迄の溜分と, 140~165°Cまで溜分を得た.此兩溜分は共に主としてオレフィン系炭化水素オクタデセンより成るものと推定せらる.
(3) 上記兩溜分を試料として硫酸化を行ひ,中和後水に可溶性にして且つ起泡性の溶液とエーテル可溶性の油状部とを得た.
(4) 水に可溶性且つ起泡性の部分はその性質よりして高級オレフィンの二重結合に硫酸が硫酸エステル状に結合せるものゝ曹達鹽溶液である.この物質は油脂硫酸化の研究に於てオレフィン結合に對する硫酸の作用を考察する上に興味あるのみでなく,その性質が石鹸に似て且つ石鹸よりも酸或は化學藥品に對し耐久性を有するが故に實用的にも浸透劑或は洗滌劑として利用の價値がある.
(5) エーテル可溶部は恐らく重合物或はアルコールと認めらるゝも精査せず.

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