日本化學會誌
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液態及び結晶状態に於ける單量體メタアクリル酸メチルのラマン効果に就いて
特にその二重線と分子内部廻轉との關係に就いて
八角 正士
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1942 年 63 巻 8 号 p. 983-987

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抄録

單量體メタアクリル酸メチルのラマン効果を液態及び結晶状態に於て觀測した.液態に於いて波數差約10cm-1の3組の二重線が觀測された.是等の線は分子内部廻轉に對する束縛ポテンシャルに由来するエネルギー二重項に依り現はれるのであるとの假定に依り説明せんとする.結晶状態に於けるラマン効果は液態のそれと著しい差違はない.即ち二重線はそのまま存在し,液態の線に對應する線は殆んど總て結晶に於ても現れてゐる.但し多少の波數のずれを伴ふ線がある.相違として擧げなければならない點は波數の小さい所に液態に於て見られなかつた數本の強度の強い線が觀測された事である.是等の線及び結晶に於て線の波數のずれる事から結晶内に於ける分子の排列に關して若干の知識を得る事が出来た.

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