1957 年 78 巻 8 号 p. 1188-1196
水酸化第二鉄懸濁液に硫化水素の濃度0.3~6.0%の硫化水素,窒素混合ガスを通じた際の硫化水素の吸収について実験した。懸濁液中の水酸化第二鉄の量がとくに少なくないかぎり,硫化水素の吸収速度は水酸化第二鉄の量に無関係である。pH9以上のアルカリ性では吸収はきわめてすみやかであるが,pH5~9では吸収速度に対するpHの影響は僅少である。また,水酸化第二鉄の量,気体申の硫化水素の濃度,pH等に無関係に水酸化第二鉄は完全に硫化鉄に変化する。しかし,pH4.5以下では硫化鉄の生成は行われず,硫化水素による水酸化第=鉄の還元がおこる。この還元にともなって液のpHが上昇するのでpH4.5を越えると液中に溶解蓄積された硫化水素によって急激に硫化鉄が生成する。
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