日本化學雜誌
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エルドマン型錯塩の合成(第4~5報) (第5報)遊離酸型錯塩の合成
久野 栄進
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1959 年 80 巻 8 号 p. 852-855

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抄録

ジクロロ・ジアコ・エチレンジアミン・コバルト(III)塩化物([Coen(H20)2Cl2]Cl),ジクロロ・ジアコ・ジアンミン・コバルト(III)塩化物およびエルドマン塩(NH4[Co(NH3)2(NO2)4])と濃塩酸から得た赤紫色粉末からつぎの3種の遊離酸型錯塩を合成した。(1)ジオキザラト・エチレンジアミン・コバルト(III)酸一水化物(H[Co en ox2]H20)。(2)ジオキザラト・ジアンミン・コバルト(III)酸一水化物(H[Co(NH3)2ox2]・H20)。(3)ジニトロ・オキザラト・ジアンミン・コバルト(III)酸水化物(H[Co・(NH3)2ox(NO2)2]・H20)。さらに,相当するカリウム塩から銀晦・テトラメチル・アンモニウム堀をも合成した。これらの遊離酸型錯塩の水溶液での吸収スペクトルはそのカリウム塩と近似しているが精密には一致しない。またそれらのpH(1×10-3F/l)は(1)4.9,(2)3.6,(3)4.3でかなり荷い。つぎに赤外吸収スペクトルの測定結果からジオキザラト型遊離酸錯塩では配位したシュウ酸の1700~1600cm-1付近の吸収がその塩類よりかなり短波長にしかも強く分裂して現われる。したがって結晶状態ではシュウ酸はかなり一座配位子の性格を帯びている。また遊離酸型錯塩は結品水の有無によって赤外吸収スペクトルが,かなり異なるところから錯埴の構造と密接に関係があるo

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