日本化學雜誌
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ペーパークロマトグラフィーの研究(第3報) 無機物水溶液を展開剤としてヒ素,アンチモン,スズの分離
今井 弘
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1959 年 80 巻 8 号 p. 878-881

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抄録

無機の酸,塩基,塩の水溶液を用いて,ヒ素,アンチモン,スズの各金属イオンの Rf 値ならびに 3金属を分離する展開剤および認知可能範囲を調べた。
展開温度を約 20 ℃ として,東洋濾紙 No.50 の .5cmx20cm を用いて,約 1 時間上昇法で展開した。発色方法として,硫化水素気流申に放置すると, As3+,As5+,Sn4+は黄色, Sb3+,Sb5+は燈色, Sn2+はカッ色となる。As5+,As3+,Sb3+,Sn2+を分離するためには炭酸アンモニウムまたは炭酸水素アンモニウム水溶液を展開剤にするとよい。さらにアンモニア水を加えると,ヒ素のスポットは明瞭となり,Sb3+のスポットの幅が小さくなる。また系統分析をおこなうには金属硫化物を多硫化アンモニウムにとかして,第 2 属 A から分離し,ロ液に塩酸を加えてふたたび第 2 属 B を硫化物とする。この沈殿に濃塩酸と塩素酸カリウムを加えて加熱溶解すると,As5+,Sb5+,Sn4+となる。これに約 0.5g の亜硫酸ナトリウムを加えると, Sb5+は Sb3+に,Sn4+はSn2+にそれぞれ還元される。これをロ紙上に滴下して,上記の展開剤で展開すると, 3 者を分離することができる。

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