1959 年 80 巻 8 号 p. 918-921
環状飽和モノケトン,環状飽和第二アルコール,および a-グリコールに対する第三ブチルクロメートの作用を調べるため,シクロヘキサノン,シクロヘキサノール,および trans-1,2-シクロヘキサンジオールの酸化を試みた。シクロヘキサノンは長時間酸化してもアジピン酸をごく少量与えるのみで,この酸化剤に対して安定なことがわかった。シクロヘキサノールは短時間の酸化で収量よくシクロヘキサノンを与え,長時間酸化してもアジピン酸が少量副生するのみであった。したがって,本酸化剤は環状飽和第ニアルコールからケトンをうる目的には有用である。trans-1,2-シクロヘキサンジオールはアジピン酸を多量与えたほか,このジオールのアジピン酸エステルも生成した。このことから,このような型のα-グリコールをジケトンへ酸化するためには本酸化剤は使用し得ないことがわかった。
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