日本化學雜誌
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難溶性塩の沈降容積(第5~6報) (第6報)硫酸バリウム, クロム酸バリウム, 硫酸鉛およびクロム酸鉛に対するリン酸塩の影響
森本 哲雄
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1960 年 81 巻 2 号 p. 239-242

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抄録

前報に引きつづいて 4 種類の難溶性塩の沈降容積に対するリン酸塩の影響をしらべた。一般にリン酸塩の重合度の増加と, ともに難溶性塩の沈降容積の減少はいちじるしくなる。しかし難溶性塩がバリウム塩の場合と鉛塩の場合とでは後者の方が強く影響をうける。たとえばリン酸水素 (二) ナトリウムは硫酸バリウムに対しては影響が弱いがクロム酸鉛に対しては沈降容積のいちじるしい減少を起させる。沈降容積のいちじるしく小さいときはζポテンシアルの絶対値は大きい。,クロム酸鉛に対しては水酸化カリウムもペプチゼーシ孫ン的に強く作用するが硫酸バリウムにはほとんど影響がない。水酸化カリウムによってクロム酸鉛は一部溶解して塩基性塩を残すが, 硫酸バリウムにはこの性質はない。クロム酸鉛のζ ポテンシァルは水酸化カリウムによっても増大する。硫酸バリウムよりもクロム酸鉛に対しリン酸塩がペプチゼーション的に強く作用するのはアルカリ性の影響もあると考えた。

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