日本化學雜誌
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鳥取県三朝温泉水中のヒ素, ゲルマニウム, セレン-ならびに温泉水中のリン酸イオン定量法について
阪上 正信
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1960 年 81 巻 2 号 p. 242-246

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抄録

鳥取県三朝温泉水について, ヒ素, ゲルマニウムおよびセレンの含有暴を分析定量することによって, 温泉水の由来の考察に資するとともに, 三朝温泉周辺のウラン鉱床の成因について温泉作用の有無を判断する資料として, 本研究を行なった。各元素についてそれぞれその分析法を検討した。温泉水中のヒ素含有量は塩素イオン濃度と正相関関係にあること, 鉄質沈殿物にヒ素の濃集されていることを見いだした。ゲルマニウム含有量 (最高 18.8μg/l) についても塩素イオン濃度と正相関関係にあり, ヒ素含有量と非常に有意な正相関をしていることを知った。また温泉植物が鉄質沈殿物とともにゲルマニウムを濃集していることを見いだした。セレン含有量は 5μg/l 以下であった。なお, ヒ素がヒ酸イオンの形態として, 温泉水中のリン酸イオン定量に妨害となっていることを知ったので, 分別抽出法によるリン酸イオン定量法について検討を加えた。

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