日本化學雜誌
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クロノポテンシオメトリーによる分析化学的研究(第3~6報) (第6報)2成分系溶液におけるクロノポテンシオメトリーについての一般的考察および亜鉛華中の微量鉛およびカドミウムの定量
永井 外代士
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1960 年 81 巻 2 号 p. 256-259

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抄録

0.1N 塩化カリウム溶液中の鉛, カドミウムイオンの2成分系について, カドミウムイオンのクロノポテンシオグラムに及ぼす鉛イオンの影響について分析化学的見地より検討した。2成分系のおのおのの濃度が一定の場合,それらのせん移時間の比は電流密度に無関係に一定である。また後放電物質の濃度,電流密度を一定にして前放電物質の濃度を変化させた場合,第2波のせん移時間は前放電物質の濃度と直線関係をもって変化する。前放電物質の濃度,電流密度を一定にして後放電物質の濃度を変化させた場合, 第2波のせん移時間は後放電物質の濃度と放物線関係をもって変化する。これらの関係を示す式を誘導し,実験によりこれらの関係を証明した。微量のカドミウムィオンに適当な濃度の鉛イオンを共存させることにより, そのせん移時間を増大させて測定した値は理論式を用いての計算値とかなりよい一致を示した。多墨の前放電物質の存在は後放電物質の定壁を妨害する。たとえば普通のペン記録計を用いてカドミウムィオンを定量する場合, カドミウムィオンのせん移時間を 6 秒以上にするためには 15 倍以上の鉛イオンが共存しないことが必要である。2成分系における定量分析例として純亜鉛華中の 0.013%Cb および O.OO2%Cd を定量し,ポーラログラフ法による定量結果と良好な一致をうることができた。

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