日本化學雜誌
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鳥取県三朝温泉の化学的研究(5~6報) (第5報) ケイ酸含量の変化
杉原 健
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1960 年 81 巻 5 号 p. 703-710

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抄録

鳥取県三朝温泉の主要源泉30のケイ酸含量を, 1952年5月から1年間, 毎月中旬に採水して測定し, さらに8つの源泉では, 月数回測定した。30源泉の年平均ケイ酸含量は, 58.5mg/l, 井戸水の平均値は29.8mg/l, 川水は, 23.3mg/lであった。ケイ酸含量は, 気温, 泉温の高い夏に多く, 冬に少ない傾向が見られた。ケイ酸含量と塩素イオン濃度との間には, 正の相関が認められるが, SiO2/C1- の値が, 塩素イオン濃度の増加とともに, 小さくなる傾向があり, 塩素イオンと同一の供給源以外からもケイ酸が供給されていると推定される。ケイ酸と鉄との関係は, 山田区共同湯, 三朝川では, 各月の平均値に対して, 正の相関があり, ほぼ似た変化を示すものがある。また, ケイ酸とマグネシウムとは, 最も外側にある湯谷の湯, 万翠楼, 岩崎, 療養所前,株湯の5源泉を除外すると, 正の相関があり,これら周辺群の源泉には, 地下水に由来すると思われるマグネシウムの影響が大きいことが推定される。そのほかケイ酸とラドン, PH, ならびに, ケイ酸と炭酸水素イオンとの関係を論じた。

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