1961 年 82 巻 2 号 p. 245-247
光学的に活姓なα-フェニル-α-クロルプロピオン酸エチルエステル(II)は1%パラジウム,および10%パラジウム-活性炭触臨常温粥圧下の撞触還元でIIと岡じ立体配置のαフェニルプピオン破エチルエスチル(III)を生成したが,その光学活性保持率はそれぞれ13,16%であった。 しかし,ラネーニッケル触媒による常温常圧下の接触還元では,わずかにWalde反転をともなったが(光学活性保持率,約1%),大部分ラセミ化したIIIを生成した。以上の結果は,パラジウム-活性炭触媒ではラジカル開裂反応のほかにS露型反応が同時に起り,ラネーニッケル触媒ではほとんど完全にラジカル開裂反応で進行したためと考え,この差は触媒であるパラジウムとニッケルの本質的な差異に基つくものと考えた。
この記事は最新の被引用情報を取得できません。