日本化學雜誌
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ミリアシンの単離およびその化学的性質
杉山 登阿部 昭吉
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1961 年 82 巻 8 号 p. 1051-1054

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抄録

キビ(Panicum miliacem L.)のヌカ(精糠)をベンゼンで温抽出し,その抽出液を濃縮して,室温に放置し,板状の結晶を得た。 これから,さきに伊藤がキビ油の不ケン化物として単離している,ミリアシン mp 282℃,[α]D+8.0°を単離した。またキビの種実の各部分をベンゼンで抽出して比較した結果,ミリアシンは種実中の果皮,種皮または胚芽に局在していることを明らかにした。
ミリアシンは,ステリンに似た種々の呈色反応を示し,その分子式は C30H55O, C31H52O,あるいは伊藤のいうように C82H54Oであり,この酸素はエーテル状酸素である。
ミリアシンを過安息香酸で酸化すると,ミリアシンより酸素原子を1個多く有するそのオキシド mp 285.5°~286℃, [α]D+52.3°が得られた。このミリアシンオキシドのテトラニトロメタン反応は陰性であって,このことから,バリアシンは二重結合を1個有する5環性化合物であると考えられる。

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