日本化學雜誌
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ローダミンB-タリウム(III)錯体の組成
今井 弘
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1962 年 83 巻 1 号 p. 39-41,A3

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抄録

ローダミンB(以下R.B.)とタリウムの錯体の構造を調べるために,まずR.B.とT1(III)の反応モル比を調べた。方法は塩化タリウムの塩酸酸性溶液に臭素を加えてT1(III)に酸化し,これにブチルセルソルブ(1:2)2mlとR.B.溶液数mlを加え,全容50mlにおいて塩酸の濃度が0.1N溶液になるように塩酸を加える。この溶液の25mlを分液ロートにとり,精製ベンゼン10mlを加えたのち,約2分間強く振って生成したR.B.-T1の錯体を抽出する。遠心分離によって,着色ベンゼン層の水分を除いてから,550mμでベンゼンをブランクとして吸光度を測定し,モル比法で反応モル比を決定した。さらに連続変化法によって吸光度が最大となる点を求め,そのときの溶液組成によってモル比を決定した。R.B.-T1錯体をベンゼンで抽出するときの塩酸の濃度変化を調べた結果,0.1N溶液から抽出したものの吸光度が最も高く,濃度が大になるにしたがって減少した。またブチルセルソルブの添加は吸光感度をよくすると同時にモル比決定に際して都合のよい曲線が得られた。そこでR.B.とT1(III)のモル比は酸の濃度やR.B.の濃度に全く関係なく1:1の結合であることが認められた。

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© The Chemical Society of Japan
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