日本化學雜誌
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チオセミカルバジドによるコバルトの比色定量
小松 寿美雄
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1962 年 83 巻 1 号 p. 48-51,A4

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抄録

チオセミカルバジドは塩基牲にてコバルト(II)イオンと反応して可溶性赤褐色錯塩(極大吸収波長は420mμ付近)をつくるので,これを利用するコバルトの比色定量法を検討した。カルバジド(水溶液として使用,無色)は水酸化ナトリウム,アンモニア水,炭酸ナトリウムの各種の塩基の約1N以上の溶液申ではカルバゾンに自動酸化されて黄褐色に呈色して比色妨害となる。カルバジドの可視部吸収は無視できる。吸光度はpH=9.2~9.6の範囲で最大であって,これに達するには常温放置約30分でよく,以後20分は安定である。カルバジド必要量はコバルトに対してモル比で12倍以上であるが,錯塩の構造については本実験によって確かめることはできなかった。定量法はつぎのように定めた。コバルト0.015~3.36mgをとり,ロッシェル塩結晶少量を加えてからカルバジド溶液(1mg/ml)15mml添加,Na2CO3-Na2B4O7・10H2O緩衝溶液でpH-9.2~9.6に調節した全容30mlの溶液の吸光度を30分後に測定する。この結果Beerの法則がよく適合し,誤差範囲は±3%以下であった。Ni2+,Cu2+,Au3+,Pd2+,Pt4+は反応するが,コバルト0.22mgに対し,0.07mg以下のNi2+,0.20mg以下のAu3+,0.20mg以下のPt4+の共存は妨害にならない。

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