日本化學雜誌
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琉球諸島産リン鉱のX線回折による観察
兼島 清
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1962 年 83 巻 10 号 p. 1074-1078,A69

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抄録

琉球諸島および他地区産のリン鉱について,X線回折装置を用いてX線回折図をつくり,その構造の解析や微結晶の大きさを計算し,つぎの結果を得た。(1)リン酸カルシウムを主成分とする琉球諸島産リン鉱は他地区産リン鉱と同様にリン灰石構造を示す。しかし琉球諸島産リン鉱は他地区産に比較して,X線回折線のピークが低く幅が広くいくぶんか相異したところが見られる。これはフッ素リン灰石でなくリン鉱に炭酸リン灰石,または炭酸一酸素一リン灰石あるいは炭酸フッ素リン灰石などの存在が考えられる。(2)X線回折線の半価幅の広さからリン鉱の微結晶の大きさを計算した。その結果琉球諸島産リン鉱の微結晶の大きさは210±50Aから770±150A程度の大きさで,他地区産リン鉱の微結晶の大きさに比較して小さい,これは琉球諸島産リン鉱の生成年代のまだ新しいことによるものである。微結晶の大きさとフッ素含有量やリン鉱のク溶率の間にはいくらか関連がみられる。琉球産リン鉱の構造や微結晶の大きさは加熱するといちじるしく変化し,900℃に加熱すると大きな安定した結晶と変わる。

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