日本化學雜誌
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ラマン効果によるキシレン混合物の分析および蒸留分離
中村 倭交夫近藤 真一
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1962 年 83 巻 10 号 p. 1093-1098,A70

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抄録

本研究は既報において述べた自働記録装置を使用して行なったキシレン混合物の分析および工業製品である混合キシレンの蒸留分離を追跡した結果をまとめたものである。すなわちオルトキシレンは直接蒸留によって分離し,さらに精製を行なった。この際オルトキシレン中にn-ノナンが混在していることを知り,これを分離してラマン効果により確認した。はオルトを除去したキシレン混合物をスルホン化することによって,パラキシレンはその残部から深冷分離によって得た。エチルベンゼンは市販品を蒸留精製した。キシレンの蒸留分離は赤外吸収を分析手段にして行なった。得られた標準試料は自働記録計の記録紙にそのラマン効果を記録した。さらに異性体を混合して分析に便利なラマン線を検討し,ついで実際にオルトキシレンを精製する工業的操作をラマン効果によって追跡した。その際赤外吸収による分析と比較して検討したが,エチルベンゼンとオルトキシレンの分別はラマン効果の方が有効であることがわかった。

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© The Chemical Society of Japan
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