日本化學雜誌
Online ISSN : 2185-0917
Print ISSN : 0369-5387
ISSN-L : 0369-5387
シンナムアルデヒドの接触還元
福田 十三雄
著者情報
ジャーナル フリー

1962 年 83 巻 10 号 p. 1126-1129,A72

詳細
抄録

いろいろな触媒を用いてシンナムアルデヒドの接触還元を行ない,パラジウム系触媒では二重結合とカルボニル基の還元ならびに脱一酸化炭素反応が同時に起り,β-フェニルプロピオンアルデヒド,シンナミルアルコール,スチレンゴおよび一酸化炭素を生さ成し,シンナミルアルコールは水素化分解を起すことがわかった。ラネーニッケルでは二重結合の還元と脱一酸化炭素反応が起り,β-フェニルプロピオンアルデヒドは水素化されて3-フェニル-1-プロパノールを生成する。酸化白金ではパラジウム触媒と同様な反応が起り最終生成物は同じになるが,フェニルプロパノールは水素吸収1mo1以後に生成し,パラジウム系触媒に比較して撰択性がすぐれている。
いずれの触媒を用いた場合にもスチレジおよ一酸化炭素の生成量はシンナミルアルコールの場合にくらべて増加し,第1報おび第2報の脱水素反応に関する推定が確かめられた。
パラジウム系触媒でもPd-BaSO4,Pd-SrSO4,および少量の酸の添加はカルボニル基の還元を促進し,Pd-CaCO3,Pd-BaCO2およびアルカリの添加はある程度それを抑制してラネーニッケルの結果に近くなった。触媒の撰択性は触媒金属のほかに微量の酸およびアルカリによっても大きな影響をうけることがわかった。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top