日本化學雜誌
Online ISSN : 2185-0917
Print ISSN : 0369-5387
ISSN-L : 0369-5387
結晶性沈殿の熟成中に起る除染
太秦 康光林 謙次郎
著者情報
ジャーナル フリー

1962 年 83 巻 2 号 p. 127-131,A9

詳細
抄録

結晶性難溶性沈殿への不純物の共沈量は一般に1)試薬の添加速度が大なるほど,2)不純物の濃度が大なるほど多くなる。また,除染は沈殿の再結晶の度合に依存する。
PbSO4-KMnO4系では,沈殿中の共沈過マンガン酸カリウムの変化量から,熟成過程での沈殿の再結晶率Fを求めることができる,このFの値は,1)試薬添加速度が大なるほど,2)過マンガン酸カリウムの共沈量が多いほど,3)共沈量が同程度の場合は試薬の灘が大なるほど増加することがわかった・それゆえ不勧の共沈量は沈殿の生成条件と熟成過程での再結晶の度合で決まる。硫酸バリウムへの鉄(II)の共沈についての類似の研究結果,その他から一般に,より純粋な沈殿を得る方法として,大過剰の沈殿剤を濃い溶液にすみやかに加えて熱力学的に不安定な沈殿を生成きせたのち,希釈して熟成過程ではげしく再結晶を起させるのがよいことがわかった。この結果はシュウ酸カルシウムへのヨウ素酸イオンの共沈について得られた結果とよく一致する。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top