日本化學雜誌
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高分子電解質の摩擦的性質
曾田 敦彦香川 〓美
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1962 年 83 巻 4 号 p. 412-417,A27

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抄録

高分子電解質の中性塩水溶液で,熱力学的性質から見いだされたθ温度での摩擦的性質を明らかにするために,ポリアクリル酸ナトリウムの1.25N NaSCN水溶液と1.5N NaBr水溶液について,それらのθ温度(それぞれ30℃と15℃)での拡散および沈降測定を行なった。得られた拡散定数Doまたは沈降定数Soと分子量MWとの間には,θ温度における非電解質高分子と同様の関係:Do=KD・MW-1/2,So=KSMW1/2(KD,KSは定数)を得た。またMandelkern-Floryの普辺定数φ1/3P-1は,非電解質高分子におけるよりも小さい値の2.2×106を与え,これから得られたφは,光散乱および粘度測定から得られたφの値1.5×1021に一致した。したがって,θ状態でも高分子電解質の方が,非電解質の母体高分子よりもひろがっているという光散乱測定結果を確認した。また,このような3成分系でも,Svedbergの式を用いて計算される分子量は,重量平均分子量に近い適正な値を与えることがわかった。

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