日本化學雜誌
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活性炭の毛管構造研究の新実験法
樋口 泉真壁 強
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1965 年 86 巻 1 号 p. 35-39

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抄録

四塩化ケイ素を収着させた活性炭を水中に投入して加水分解させ, 2種の活性炭の毛管内に種々の量のシリカを沈積させた試料をつくる。この各試料につき0°Cにおける水蒸気およびベンゼンの収着等温線を測定し,沈積したシリカの量が飽和収着量,毛管分布およびBET容量におよぼす影響を検討する新実験法を述べた。上記の量をすべて原活性炭1gあたりに換算すると,飽和収着液容と沈積したシリカの容積Øsとの和はØsに関係なく一定値になる。この結果からシリカの沈積によって数%以内で暗孔は生じないこと,したがってシリカは均一に分布していることを結論した。またØsが変化しても半径20Å以上の毛管分布はほとんど変化しないこと, BET容量Ømは減少するがØmとØsの和は一定になることを見いだし,活性炭のBET容量はBET理論で与えられる物理的意味を与えることは適当でなく,毛管凝縮理論で与えられる半径15Å以下の毛管に凝縮した量と見なすことが妥当であることを論じた。

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© The Chemical Society of Japan
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