1965 年 86 巻 2 号 p. 185-190
Sr2.56Mg0.3(PO4)2:0.1Snケイ光体は2537Å励起で3900Åの弱い発光および6430Åの強い発光を示す。この赤色発輝帯に対する励起スペクトルには, 2810および3150Åの励起帯が存在する。 83°Kでは2537Å励起で6430Åの発光を示し, 3650Å励起で6160Åの発光を示すが,常温以上では励起波長に関係なく同一の発光を示す。この赤色発光に対する実験的な配位座標モデルを計算した結果,励起状態の振動数νe=10.6×1012sec-1が基底状態の振動数νg=8×1012sec-1より大きくなっており, Stokesシフトが2倍以上となっていることが理解される。Sr2.46Mg0.3(PO4)2:0.1Sn, 0.1Mnケイ光体では,増感剤であるスズの主発光が6430Åであるのに対し,発輝付活剤であるマンガン発光は6150Åに現われ, Stokesの関係を満たしていないように思われる。しかしケイ光特性の測定結果から2537Å励起のときは3900Åの発輝帯が, 3650Å励起のときは4360Åの母体発光がマンガン発光を増感していることが見いだされた。
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