日本化學雜誌
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示差熱分析による有機化合物の沸点および蒸発潜熱の測定
前田 嘉道安積 敬嗣高嶋 四郎
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1965 年 86 巻 7 号 p. 737-740

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抄録

示差熱分析法によって有機化合物の沸点および蒸発潜熱を測定する場合の実験条件について,ナフタリンを試料として検討した。蒸発による示差熱ピークは試料の充テン方法に大きく影響され,さきに融解の測定に用いたボトム法で分析を行なうと再現性のある蒸発ピークは得られないが,白金製試料セルに試料のみをつめるオープン法で分析を行なうと再現性のあるピークが得られた。しかし,試料量が少なすぎたり,昇温速度がおそすぎると,オープン法で分析を行なっても,沸点にいたるまでに試料が蒸発してしまうために沸点に相当する温度にピークが現われない。オープン法を用い,試料量を100mg前後にして,昇温速度を毎分7.5°~10°Cで分析を行なうと良好な蒸発ピークを得ることができた。この実験条件で,二,三の有機化合物の沸点および蒸発潜熱の測定を行ない,文献値と比較的よく一致した値を得ることができた。

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© The Chemical Society of Japan
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