日本化學雜誌
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種々の有機酸塩を加えた銅イオン水溶液の凍結状態におけるESRスペクトル
瀬高 守夫管 孝男
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1966 年 87 巻 10 号 p. 1036-1038,A58

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抄録

酢酸銅の水溶液に12種類の有機酸塩を加えた溶液の凍結状態におけるESRシグナルは有機酸塩の種類によって3種類のパターンを与えた。
一つは多くの銅塩にみられている対称軸をもつ場合のシグナルでgII=2.33に4本のhfsとg⊥=2.07に単一の大きな吸収線を与えるグループであり,他のグループはg=2.07の単一線が切れ込んで2本の吸収線を与える。最後のグループの有機酸塩ではg=2.07の単一線は5本にわかれると同時にg=2.33の4本のhfsはおのおの二重線となることが観測された。この分裂は配位子や銅の核スピンによるものでなく有機酸陰イオンの配位構造の差に由来していると考えられる。とくに最後の場合はある実験条件下におけるそのパターンの変化から2種類の配位構造が混在し,それに基づくESRスペクトルが二つ重なったものであることがわかった。

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