日本化學雜誌
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酢酸亜鉛-活性炭触媒による酢酸ビニル合成速度と毛管構造との関係
中村 有志久保田 昌治小林 純一樋口 泉
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1966 年 87 巻 10 号 p. 1042-1048,A58

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抄録

触媒の毛管構造と触媒能との関係を研究するために,種々の量の酢酸亜鉛を沈積した活性炭を触媒として,酢酸ビニル合成反応速度定数,触媒の比表面積ならびに毛管構造を測定した。酢酸の変化率と供給速度との実験的関係から,反応両成分と活性炭の表面にある酢酸亜鉛とから中間体が生成する反応機構を考察し,この機構から導かれる速度式が全実験結果を満足し,かつ沈積量と温度の関数として妥当な速度定数を与えることを示した。(1)沈積量の異なる触媒の反応速度定数は触媒の比表面積と関係がないこと,(2)前報の活性炭にシリカを沈積させた場合とまったく等しく,沈積した酢酸亜鉛の大部分は半径が15A以下の毛管内にあること,(3)外表面積が約100倍になるように砕いた触媒の合成速度定数は原触媒のそれと等しいことを確かめた。このような全実験結果を説明するために,反応に関与する酢酸亜鉛は,触媒中にごくわずかに存在する数100A以上の大径毛管部に沈積したものであることを結論した。

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