1966 年 87 巻 10 号 p. 1049-1052,A58
Archibald超遠心法を高分子希薄溶液に適用したとき,多分散性高分子の良溶媒系ではMapp-1対coプロットが一般に上向きの曲率をもった曲線となり,重量平均分子量Mwを得るために行なうco→0への外挿が困難である。ここに,Mappは見かけの分子量,coは初濃度である。本報はこのようなプロットの曲率と試料の分子量分布との関係を実験的に検討するため,単分散性試料ポリテトラヒドロフラソのブタノン溶液(25℃)の沈降実験に関するものである。溶液のメニスカスから求めたMappの時間変化を同位置における濃度変化Δcmの関数として解析し,第1報で理論的に与えられた,沈降における溶液の熱力学的非理想性の効果,および回転数の効果を論じた。結果は非理想性の理論的予測とよく一致することが認められ,したがって,Mapp-1対coプロットの曲率は溶質分子の多分散性に起因することを確認した。
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