1966 年 87 巻 10 号 p. 1060-1063,A59
シアンイオンはHg-EDTA(Na2HgY・4H20)と反応してpH4~8において安定な錯体[HgY(CN)]3-を生成する。しかし,シアンイオンはpH6~7.7において,さらにこの錯体とつぎのように定量的に反応して当量のEDTAを遊離する。[HgY(CN)]3-+CN-→Hg(CN)2+Y4-
そこでこの遊離したEDTAを硫酸銅(II)標準液で滴定して,シアンイオンの定量を行なった。pH7.1にしたシアンイオン溶液に0.01mol/l[HgY(CN)]3-溶液10mlを加えて水で約50mlにして,2,3分放置後,メチルアルコール20mlおよびPAN指示薬を加え,0.005mol/l硫酸銅標準液(1ml=0.1301mgCN)で滴定する。この結果,0.025~2mgまでのシアンイオンがきわめて再現性よく定量できた。なお,0.01mol/l[HgY(CN)]3-溶液の採取量を10mlより多くすれば,定量範囲の上限をあげることができる。S2-,Cu2+,Co2+,Ni2+,VO3-,Hg2+,Ag+などの各イオンの存在は妨害となる。
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